大阪府の橋下知事が、府庁内の全面禁煙と「タバコ休憩」の廃止を指示して話題になったことがあった。この取り組みにならってか、ある会社で就業中の喫煙時間を制限したところ、残業時間の削減につながる効果があったという。
「仕事にメリハリ」「本数半減でお金が浮く」効果も
人材派遣会社の日総ブレインは2009年10月3日、就業時間中に「喫煙禁止時間」を設けた取り組みと効果について発表した。
この取り組みを始めたのは、09年5月。横浜・渋谷など5ヶ所の事業所に勤める直接雇用のスタッフが対象だ。喫煙者は24名で、全社員の約2割。喫煙時間を業務にあてることで、残業時間の削減をねらったという。
タバコが吸える時間を「午前10時半から11時」と「午後3時から3時半」に限定。それ以外の時間を「喫煙禁止時間」とした。ただし始業前と昼休み、時間外労働については、喫煙禁止時間の対象外としている。
その結果、09年5月から8月までの残業時間は、前年比ですべての月で減少し、6月には17%の削減に成功。喫煙者である社員の一人は、喫煙時間の短縮がそのまま残業時間の削減につながったわけではないとした上で、この取り組みには仕事のメリハリを強める効果があったという。
「始業前と昼休み、終業後を含めて喫煙が5回になったので、1日1箱だったタバコの本数が半分の10本に減りました。金銭的な負担が減りましたし、ノドの調子も良くなりました。最初のうちは耐えられるものかと心配でしたが、いまでは『午前10時半の喫煙までに、これとこれを終わらせてしまおう』と、より仕事にメリハリが利くようになりました。このリズムが、残業削減につながったのかもしれません」(日総ブレイン担当者)