独身者を対象にしたある調査によると、「結婚したい」と考えている人は8割近くに上るものの、「出会いがない」「経済的理由」などで独身を続けているという結果が出た。特に、昨今の不況下で「経済的理由」を挙げる人が急増しているようだ。
「結婚したい」「どちらかというと結婚したい」は78.9%
静岡県が2009年春に、県内在住の20歳から49歳までの男女3000人を対象に実施した「少子化に関する県民意識調査結果」によると、現在独身の人で「結婚したい」または「どちらかというと結婚したい」という人は78.9%で、8割近くに上った。
現在独身の人に、結婚することによる良い点を聞いたところ、「自分の子どもや家庭を持てる」が55.2%、「精神的な安らぎの場が得られる」が48.8%だった。また、独身でいることの良い点は、「行動や生き方が自由」という回答が84.4%と多かった。
理想とする人生のタイプは「結婚し、子どもをもち、仕事も一生続ける」が50.0%と最も多く、男性では77.0%に上ったが、女性では24.9%にとどまった。
独身の理由「結婚資金が不足」「家計のやりくりが大変」
また、「現在独身でいる理由」について聞いたところ、「適当な相手にまだめぐり会わないから」が46.5%で最多に。2位は「結婚資金の不足や結婚後の家計のやりくりが大変といった経済的理由」(26.1%)、3位は「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」(22.3%)となった。なお、「経済的理由」は、前回(2004年)調査の6位(15.6%)から急上昇した。
「経済的理由」は、男性では前回の22.1%から35.3%と、13ポイント以上も伸ばした。逆に「独身の自由さや気楽さ」は男性で37.4%から19.6%と、17.8ポイントも減らしている。「気楽さ」から「経済難」へのシフトは、先行に対する不安の影響だろうか。
内閣府は「平成16年版少子化社会白書」の中で、「少子化の原因の背景」を、
1 仕事と子育てを両立できる環境整備の遅れや高学歴化
2 結婚・出産に対する価値観の変化
3 子育てに対する負担感の増大
4 経済的不安定の増大等
と整理している。09年の総選挙において各党は「ワークライフバランスの実現」「子ども手当の創設」「幼児教育の無償化」など1~3に関する施策を訴えているが、4番目の「経済的不安定の増大」への対策が不足しており、この不況下では「若年労働者の生活水準向上」などの比重を高めるべきでは、という見方もある。