仕事や生活において、インターネットの便利なサービスの利用が欠かせなくなっている。そこで必要になるのが「IDとパスワード」の入力だ。ある調査によると、確実に記憶できるID・パスワード数は平均3.1組で、サイトによってそれらを組み合わせて使用しているという実態が明らかになった。
4人に1人が「すべてのサイトでID・パスワードを統一」
野村総合研究所は2009年6月11日、インターネットで使用するIDとパスワードに関する意識調査の結果を公開した。調査対象は全国の16歳以上69歳以下の男女1000人。
それによると、インターネットユーザーが確実に記憶できるID・パスワード数は、「2~3組」と回答した人がもっとも多く54.5%。次いで「4~5組」(21.7%)、「1組」(8.8%)と続き、平均3.1組という結果となった。「1組でも自信がない」という人も4.7%いた。
一方、実際にIDとパスワードを使ってログインするサイトは、「ほぼ毎日使うサイト」(平均6.7サイト)と「たまに使うサイト」(平均6.7サイト)を合わせると、平均13.4サイトにのぼる。ということは「使用するサイト数」が「記憶できるID・パスワード数」を大きく上回っているということになる。
ID・パスワードを設定する際に、「ひとつに統一する」(すべてのサイトで同一のID・パスワードを使う)と回答した人は25.8%で、4人に1人。「いくつかのID・パスワードの中から選んで設定する」とした回答者(66.7%)を加えると、9割以上が「ID・パスワード」を複数サイトで併用していることになる。
「今後も増やしたくないが増えてしまうと思う」が58.5%
IDとパスワードを使ってログインするサイトについて、「いつも使用している」と答えた割合が高いサービスは、Gmail・Hotmailなどの「Webメール」(42.5%)が1位。次いで楽天市場・amazonなどの「ネットショップ」(33.3%)、銀行の「ネットバンキング」(30.1%)となり、秘匿性の高い個人情報を扱うサイトが上位を占めている。
今後のID・パスワードの登録について聞いたところ、「増やしたくないが増えてしまうと思う」が58.5%。「多すぎるので減らしたい」と回答した人も7.3%いた。ネットユーザーの「これ以上増やしたくない」という本音が垣間見られる。
また、インターネットのサイトで「ユーザー登録」を途中でやめたことのある人は「よくある」(12.8%)と「たまにある」(78.9%)を合わせると9割を超えた。その理由は「入力項目が多かった」(57.9%)、「教えたくない情報を求められた」(56.7%)、「わざわざ入力するのが面倒だった」(43.7%)が上位となった。
ひとつのウェブサービスで設定したID・パスワードおよび個人情報を、発行元と異なるサイトでも共用できるID管理技術には「OpenID」などがある。米国では、すでに1万以上のウェブサイトがOpenIDに対応しているというが、このような技術の普及は、数多くのID・パスワードを記憶できない日本のネットユーザーにも歓迎されるだろう。