ある朝、マスコミ関係で働くAさんは、職場に着くとメールチェックを始めました。
毎日、大量の業務メールを受け取るAさんは、メールのタイトルではなく、まず差出人を確認して優先順位をつけて読んでいきます。
「タイトルだと、どうしても似たようなものが多く、どれが急ぎかわかりにくい。いま抱えている仕事の場合、差出人によって『急ぎのあの仕事』とか『昨日打ち合わせしたあの仕事』とかだいたいわかりますし、純粋に仕事か私信に近いものかもおおよそ見当がつきます」
スパム業者に個人情報を悪用されたのか?
そのなかに、古くからの知人からのメールがありました。ところが、タイトルからしてかなり怪しい。
「お支払いいただく金額は、たった3000円のみ!」
「必ず儲かる副業! 確実に稼ぐ自動集金システム!」
「こんなに簡単に、何もしなくて儲かって、ホントにいいの!?」
Aさんは、すぐによくあるスパムだと気づきました。が、その知人が自分にスパムを送ってくるとは、どうしても腑に落ちません。
しばらく考えて、差出人を偽装するタイプのスパム業者に悪用されているに違いないと思い当たりました。
「そこで、知人に『どうやら悪い業者に利用されているようだけど』と教えてあげたんです。『えっ…』と絶句する知人とよくよく話してみたら、驚いたことに知人自身が本当に副業としてバラまいていたメールだったんですよ」