放送作家を襲った悲劇「原稿のメールが届かない!」

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   中堅放送作家として活躍するTさん。立場はフリーランスですが、大手のプロダクションと契約していて、人気番組の企画や構成を担当しています。

   先日、仕事が立て込んでいた時のこと。あるテレビ局の番組の本番に立ち会いながら、空いた時間に別の局のナレーション原稿を書いていました。

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「原稿、まだですか?」とADから催促

「その日は、午前、午後、夜と3つの番組があり、午前の番組の進行をやりながら、空いた時間で夜の番組の原稿を書いていたんです。私も初めて扱う題材で、番組に立ち会いつつネットでデータや記事を調べながら、やっとの思いでナレーション原稿を書き上げ、先方の担当者にメールで送りました」

   これで一息、昼食でも食べに行こうと思った、その矢先。夜の番組のアシスタントディレクター(AD)さんからケータイに連絡が入りました。

「ナレーションか構成の変更かなと思いながらケータイをとったら、いきなり『原稿、まだですか? みんな待ってますよ!』って、強い口調で言われたんです。いや、さっき送ったからって言っても、着いていないって言う。もう一度送るから、着かなかったら教えてくれ、と依頼しました」

   15分ほどしてかかってきた電話口で、先方のADさんはまだ着いていないと言います。「アドレスの間違いではないですか? ○○○@×××ですよ、アドレスを間違えていませんか」と言われて送信済みのメールを確認してみると、正しくタイプされています。

「そこで、逆に空メールを送ってもらい、それに直接、返信することになったんです。でも、先方からのメールは受信できるのに、こちらから送ったメールが確認できない、というんですよ」
井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
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