中国ネット業界を裏で支えた「アダルトサイト」に異変

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   長らく中国で仕事をしている商社系のビジネスマンと話す機会がありました。

   市場開放と軌を一にした、国家的なIT戦略、技術開発戦略により、中国でのIT・ネット業界も急速な発展を遂げてきました。

「オモテでは確かに世界最先端のIT・ネット国家を目指してるって話なんだけど、じゃあ、ウラや底辺で人々がどうやって稼いでいるかといえば、結局のところ、アダルトサイトとスパムメールなんだよな」
「もちろん、人件費の安さと技術の確かさをウリにしたゲームなんかの開発下請けもやってるんだが、儲けでいえばアダルトやスパムにかなわないらしい。アダルトとスパムは表裏一体だから、信用を得て手広くやればダブル、トリプルで儲かっちゃうって」

   ところが、北京オリンピック開催を機に取り締まりが格段に強化され、アダルト系サイトは、もはや一網打尽といった風情なのだそうです。

「米国や日本の業者から仕事を受けてやってたのは、意外なことに、技術に明るい普通の学生や会社員が多かったんだよ。中国の連中からすれば、場合によっては1年分にも相当するような額を2~3ヶ月ぐらいで払ってくれるものだから、リスクはわかっていても、やらなきゃ損、みたいな雰囲気でね」

アダルトサイトは今後どうなっていくのか?

   日本でも2008年夏、遼寧省で摘発されたアダルトサイト運営者がエリートサラリーマンだったと報じられました。が、そんな彼らも厳しい取り締まりに遭い、すっかり元気がないのだとか。

   ブロードバンド以前、まだダークファイバー網の開放が云々されていた頃、リッチコンテンツの代表はアダルト系の動画(ストリーミングやダウンロード)であり、ネットビジネスとして見てもアダルトを制する者が最初に勝つ(その後どうなるかは、まだわからない)、といった話をインフラ系ベンチャーの偉い人から取材後に聞かされたことがありました。

   実際、その通りになりつつあります。

   しかし、日本系の過激なアダルトサイトに対しても、当局の取り締まりが強化されるといった噂もあります。ビジネスとして、もはや無視できない存在となったアダルト系コンテンツですが、さて、今後はどうなっていくのでしょうか。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
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