十数億円の「無駄使い」 物流会社の驚くべき実態

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   オフィスのみならず、流通や生産の現場でもIT化は急速に進められています。あるメーカー系物流企業の役員Aさんは、自社の物流システムを刷新するプロジェクトを任されました。

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さらなるシステム改善に迫られる物流企業

「われわれのような物流子会社は、業界再編や長引く不況といった環境変化に対応するため、これまでのような親会社一辺倒の取引から、自前で新規の取引先を開拓していかなくてはならなくなっています。
   親会社となら、細かな変更や突然の要請があっても見知った仲ですので、口頭でのやり取りだけでも上手くいっていた。ところが、新規の相手先となると、トラブルとならないよう、契約や日々の取引について書類を迅速に発行したり、配送をリアルタイムで把握、追跡できなくてはなりません」

   もともと、物流業界はシステム投資に重きを置いている業界でしたが、競争の激化によりさらなる投資の必要に迫られていたのです。

   そこで、大手の物流企業が採用しているような、取引先と自社の物流拠点や管理部門、ドライバーとをネット経由で一気通貫に結び、情報がリアルタイムで共有できるシステム構築を目指しました。

   コンサルやシステムベンダーとの折衝を繰り返し、勉強会や展示会などへ参加する一方、同業他社がどのようなシステムを導入しているか、参考のために知己のいる企業へ足を運んで見学させてもらったりもしました。

井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
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