2000年前後に起きたとされる「IT革命」以降、オフィス内では急速にフル・デジタル化が進んでいます。ボールペンや鉛筆を握りしめ、書類作成に汗をかいていたのも今は昔。オフィスの主役は、いまやパソコンです。キーボードを叩く音が幾重にも響き渡り、プリンタが止めどなく紙を吐き出す。
オフィスは、名実共にIT革命の主戦場となりました。ところが、革命がわずか10年足らずのうちに進行してしまったため、笑うに笑えないトラブルにも事欠かないようです。
課長と部長がソフトの使い方を覚えようとしない
先日も、こんな話を聞きました。
ある会社の営業セクションでは、上司への報告や営業同行の依頼などを効率化するため、ウェブ対応のスケジュール管理ソフトを導入しました。外回りをしていても、端末からインターネット経由でアクセスさえすれば、自由に書き込んだり、内容を読んだりできるというアレです。
会社側は、ペーパーレスが進むことでコスト削減はもとより、環境に配慮するイメージもアップして良い、口頭でやり取りしているより時短にもなる、と満足気でした。3年程前のことです。
ところが、目に見えたペーパーレスの効果もなく、また時短にも繋がっていません。その理由を、女子社員がこっそり明かしてくれました。
「40代の課長とその上の部長が、ソフトの使い方をまったく覚えようとしないの。社内でミドルを対象にしたパソコン研修もしてるんだけど、使おうとする気がないから、ぜんぜん覚えてこないのよ」
とどのつまり、スケジュールソフトの画面を一日に2回ほど定期的にプリントアウトし、課長と部長に見てもらっているそうです。