体内や脳内を詳しく検査する「MRI(核磁気共鳴画像法)」。装置に入ったことがある人なら、検査前に「金属を持ち込んではいけない」と厳重に注意されただろう。これはMRIが強力な磁石を使用しているためだ。
そんなMRIにまつわる「衝撃的な話」がツイッター上で話題となった。「増毛パウダー」をつけた人が入ったところ、装置の中にパウダーが飛び散ったという。金属とは無縁に思えるのだが...。
装置メーカーも聞いたことがない事例
2017年3月23日にツイッター上で、
「今日、友人がMRIを受けたんだけど、機械が1台故障していて、えらいしんどい目にあったらしい。故障の原因。増毛スプレーをした男性が受診して内部に鉄粉が飛び散ったため。」
というツイートが投稿された。投稿者も伝聞のため詳細は把握していないようだが、この「増毛スプレー」とは髪染めなどではなく、髪の薄い部分に繊維状のパウダーを振りかけ毛量を多く見せる、いわゆる「増毛パウダー」と思われる。思いもよらぬ「事件」に、ツイッターでは多くの人が「MRIに増毛パウダーがダメだとは知らなかった」と驚いた。
MRIは強い磁場を発生させ体内の水分に電磁波をあて、跳ね返ってきた情報を画像化する仕組み。強力な磁石を使用するため金属など「磁性(磁石に引き寄せられる性質)」を帯びる可能性があるものを装置内に持ち込むのは禁止されている。イヤリングやネックレスはもちろん、心臓ペースメーカーや人工関節、入れ歯、インプラントも金属製のため、MRI受診前には医療機関などで入念にチェックをされる。
では、増毛パウダーには何が含まれているのだろうか。
J-CASTヘルスケアがMRI装置の製造販売を行っている東芝メディカルシステムズに取材を行ったところ、担当者は「増毛パウダーがMRIに吸い寄せられるというのは初めて聞いた」と苦笑しつつ、「何らかの磁性体(磁石に引きつけられる物質)が含まれていれば引き寄せられる可能性はある」と話す。
「さらに磁性体はMRIに入ると熱を帯びるため、タトゥーや入れ墨の染料に金属が含まれていると火傷を負うリスクもあります」
ただ、増毛パウダーに鉄粉などが含まれているかは把握してないという。