寒い季節になっても汗をかきやすく、「汗臭さ」にお悩みのアナタ。その対策には「消臭剤」より「制汗剤」の方がオススメというアドバイスを、専門医の集まりである米国皮膚科学会が2016年10月11日に、機関誌「American Academy of Dermatology」に発表した。
汗っかきの人は「多汗症」と呼ばれるれっきとした病気で、専門医を受診するよう呼びかける一方、日常生活の対策のヒントも丁寧に紹介している。
「発汗日記」をつけてベタベタ汗の原因を知ろう
同学会が10月11日に発表したプレスリリースによると、暑くもないのに汗をかいたり、特に激しく体を動かしたわけでもないのに衣服に汗がにじんだりする人は多汗症の可能性がある。精神的な理由やホルモンバランスの乱れ、遺伝的要因など原因は様々だが、「病気」だと自覚していない人が多い。
学会の認定皮膚科医、ジェニー・アイリーン・村瀬博士は、「多汗症は、治療をすれば治る病気なので、ぜひ専門医に相談してほしい。放置しておくと、ほかの皮膚病を誘発する可能性もあります」と呼びかけている。そのうえで、日常生活の中で工夫できる対策として、次の4項目をあげた。
(1)防臭剤ではなく制汗剤を使用する。防臭剤ではにおいの元である発汗を抑えることができないからだ。制汗剤は薬局や医師の処方によって手に入る。汗をかき始めたらすぐに制汗剤を使う。
(2)制汗剤は、指示書に従って正しく使うと効果が最も期待できる。制汗剤は、手のひらや背中、膝の裏など汗をかいたどの場所にも使える。
(3)いつ・どこで・どんな場面で汗をかいたかを記録する「発汗日記」をつけるとよい。過剰に汗をかく人の多くは、いつも特定の場面がきっかけになっている。汗をかいた理由を知ることによって、原因をさけることができる。一般的な発汗のきっかけとしては、カフェインや香辛料などの特定の食品や暑さ、発熱、不安などが知られている。
(4)足の裏がベトベトになると、水虫や皮膚感染症がひどくなり、においもきつくなる。足に汗をかきやすい人は靴下をまめに取り換えること。木綿の靴下は湿気を含みやすいので避ける。足の通気性をよくするために、皮革などの天然素材で作られた靴を履くとよい。2日続けて同じ靴を履かず、靴は頻繁に交換する。靴は履く前に完全に乾かしておく。また、サンダルを履ける日はサンダルにするなど、なるべく靴を履かない工夫をしよう。