子宮頸がんワクチンの接種後に体の痛みやしびれを訴えた患者の約4割に、記憶低下などが起きている――。厚生労働省の研究班が2016年3月16日に発表した内容から明らかになった。
研究班が調査した約100人の少女のうち、「授業の内容が記憶できない」といった学習障害を訴えた割合が約4割に上ったという。研究班の代表で、信州大学医学部長の池田修一教授は3月16日放送の「ニュース23」(TBS系)で、全国の患者140人の研究を進めてきたなかで記憶力の低下などを訴える患者の傾向が分かってきたとする。さらに「情報の処理速度だけが極端に落ちている。正常の6割くらいまで落ちている」と話した。
日本国内では、これまで338万人が子宮頸がんワクチン接種を受けたが、副作用の報告が相次ぎ、厚労省は2013年6月からワクチン接種の積極的な推奨を控えている。こうした国の対応に、WHO(世界保健機関)は2015年12月、日本では子宮頸がんを予防する機会が奪われているとして非難する声明を出した。