「困った時はコレを食え」といわれるほどブロッコリーは栄養豊富な野菜だが、肝臓がんと脂肪肝を防ぐ効果があることが改めてマウスの実験で証明された。特に脂肪肝は肝臓がんだけでなく、肝硬変や糖尿病、動脈硬化を引き起こす「万病の元」の恐ろしい病気だ。
米イリノイ大学のエリザベス・ジェフリー教授らの研究チームが米科学メディア「サイエンス・ニュース」(電子版)の2016年3月3日号に発表した。
外食の時は必ずブロッコリー入りのサラダを
肥満が問題になっているが、肥満の健康被害は最初、肝臓に中性脂肪が蓄積する脂肪肝となって現れる。脂肪肝は自覚症状がまったくなく、放置すると肝機能が低下するため糖尿病や動脈硬化、肝臓がん、肝硬変に進むことが多い。日本人の4人に1人が脂肪肝というデータがあるほどだ。そこで、脂肪肝を防ぐことが生活習慣病予防には最重要となるわけだ。
研究チームは、マウスに次の4種類のエサを与える実験をした。
(1)普通のエサ。
(2)普通のエサに10%の重量のブロッコリーを混ぜる。
(3)脂肪と糖分の多いエサ。
(4)脂肪と糖分の多いエサに10%の重量のブロッコリーを混ぜる。
そして、それぞれのマウスに発がん性物質を繰り返し与え、6カ月後に肝臓の状態を調べた。すると、(3)の脂肪と糖分の多いエサを食べたマウスは特にがんの発症率と中性脂肪の量が多かった。それでも、(4)のブロッコリーを混ぜたマウスは、(3)に比べて中性脂肪の量が少なく、がんの発症率も低かった。また、がんを発症した場合でも進行の度合いが遅かったという。
ブロッコリーには「スルフォラファン」という非常に抗酸化力が高いフィトケミカル(植物由来成分)がたっぷり含まれている。これが肝機能の向上に働いているようだ。
今回の結果について、ジェフリー教授は「ファーストフード店で食事をする時は、必ずブロッコリー入りのサラダを注文してください。もし、なければ同じアブラナ科の野菜のカリフラワーや芽キャベツもオススメです」とコメントしている。