厚生労働省は2015年12月24日、「健康日本21」推進専門委員会を開き、2013年の都道府県別健康寿命(推定値)を公表した。「健康寿命」とは、平均寿命とは違い、介助されることなく自立して健康に生活できる寿命をいう。
その結果、山梨県が男性(72.52歳)、女性(75.78歳)で、ともに日本一に輝いた。
元気な80・90代の親より子が先に逝く「逆さ仏」現象も
山梨県はなぜ健康寿命が長いのか。厚生労働省では個別の県の評価は公表していないが、山梨県庁などのサイトでは、長寿の秘密として山梨県ならではの風習である「無尽(むじん)」をあげている。無尽とは、江戸時代から伝わる、互いの掛け金で金銭を融通し合う金融組織のことだが、山梨県の場合は、地域ごとにある、お金を出し合って旅行や飲み会を楽しむ集まりをいう。
2004年に山梨県立看護大学が行なった「健康寿命実態調査」によると、無尽を使って旅行する仲間がいる人は、旅行しない人に比べて「3.1倍健康長寿である」というデータが出た。山ばかりの県内各地を旅行で歩くから健脚になるのだ。だが、近年は参加するのは高齢者ばかりになった。
無尽に参加して元気な80・90代の親より、50・60代の子どもが生活習慣病になって先に逝ってしまう例が多いことから、「逆さ仏(さかさぼとけ)」現象があることも報告されている。