ジャガイモを普段から食べる量が多い人は、少ない人より糖尿病になりやすいことが大阪がん循環器病予防センターの村木功氏らのグループの研究でわかった。論文は、米の科学誌「Diabetes Care」(電子版)の2015年12月17日号に発表された。
もともとジャガイモは糖質が高く、糖尿病の心配のある人は食べる量を控えた方がよいとされていたが、改めて食べ過ぎがよくないことが医科学的に確認された。
ジャガイモ多く食べる人ほど清涼飲料水を飲む量も増える
研究では、米国の医療従事者計11万1442人の健康データを対象に、ジャガイモの摂取量と糖尿病の発症率の関連を調べた。対象者は全員、糖尿病にかかっていなかった人だが、追跡期間中に1万5362人が糖尿病を発症した。その結果、次のことがわかった。
(1)ジャガイモ料理を食べる頻度が週に2~4回の人は、週に1回未満の人に比べ、糖尿病の発症リスクが7%高くなる。
(2)毎日食べる人は、週に1回未満の人に比べ、33%も高くなる。
(3)料理方法では、油で揚げるフライドポテトのリスクが一番高い。
(4)ジャガイモを食べる量の多い人ほど、清涼飲料水を飲む量も多くなり、全体の摂取カロリーが増える。
(5)週3回のジャガイモ料理を全粒穀物(玄米や全粒粉パンなど)に置き替えると、糖尿病リスクが12%下がる。
チョコやドーナッツより血糖値を上げる?
ジャガイモは糖尿病患者では控えたい食品の1つとされてきた。たとえば、筑波メディカルセンター病院の糖尿病対策のサイトをみると、「でんぷん質の多い食品を摂り過ぎないように」としてイモ類(ジャガイモ、サトイモ、サツマイモなど)の筆頭にあげられている。
ジャガイモは糖質が多いだけでなく、GI値(グリセミック・インデックス)が非常に高い。GI値は、食べた後に血糖値を上昇させるスピードを食品ごとに数値で表したもの。数値が高いほど血糖値が上がりやすくなる。ジャガイモのGI値は95で、ヤマイモ75、サツマイモ55に比べイモ類ではトップ。どら焼き95と同じで、チョコレート91、ドーナッツ86より高い。糖尿病や糖尿病予備群の人は、GI値60以下が勧められている。