えごまに多く含まれる成分が、酒を飲まないのに発症するタイプの脂肪肝(非アルコール性脂肪肝炎=NASH)や、それにともなう肝細胞のがん化を予防する効果があることを名古屋市立大学の研究グループが突き止めて、2015年10月22日付の英科学誌「カルチノジェネシス」に発表した。
NASHは肝硬変や肝臓がんに進む恐れがあり、最近、食生活の欧米化にともなって日本でも増えており、推定200万人といわれる。発症や進行には老化などにともなう肝細胞の酸化が関わっていることがわかっている。
抗酸化作用を持つ「ルテオリン」
同大学の内木綾助教らのチームは、えごまの種に多く含まれるポリフェノールの一種で抗酸化作用を持つ「ルテオリン」に着目。そこでNASHを引き起こすエサを3か月間食べさせたラットと、そのエサにルテオリンを加えたエサを同じ期間食べさせたラットとを比較した。すると、ルテオリンを摂取したラットは、摂取しないラットに比べて肝細胞内の脂肪が10%減り、NASHの進行も20~30%遅くなった。また、がん化の可能性があるかん細胞も半分程度しかないことも判明した。
内木助教は「ルテオリンの抗酸化作用が肝臓の炎症を抑えたと考えられる。積極的に食事に取り入れれば、脂肪肝の予防につながる可能性がある」とコメントしている。