「前立腺がん」5年後に男性のがんトップ 自覚症状なし、でも治療法はあるぞ

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【チョイス@病気になったとき】(NHK)2015年9月19日放送
「どう対処?前立腺がん」

   前立腺がんは、男性特有の生殖器「前立腺」の中にできるがんだ。多くが50歳以上で発症するが、最近、急激に増えてきた。2020年の東京オリンピック時には、肺がんを抜いて日本の男性が罹(かか)るがんのトップになると予想されている。しかも自覚症状がほとんどないのが特徴。

   番組の冒頭で、Kさん(72歳)のケースが紹介された。2年前のある日、突然背中が痛くなり、立てなくなった。整体師に行ってもらちがあかず、病院に行くと「前立腺がん」と診断された。がんが背骨に転移していた。気づいた時は、かなり進行している例が多いのだ。

  • 前立腺がんは自覚症状がなく、かなり進行してから痛みが出る。腰痛にも要注意だ
    前立腺がんは自覚症状がなく、かなり進行してから痛みが出る。腰痛にも要注意だ
  • 前立腺がんは自覚症状がなく、かなり進行してから痛みが出る。腰痛にも要注意だ

50歳になったら1度は受けたいPSA検査

   MCの浜島直子と星田英利が、ゲストの高橋悟・日本大学医学部教授に聞く。

浜島「こわいですね~。私の旦那、50代ですから他人事ではありません」
星田「なぜこんなに増えているのですか?」
高橋教授「50~60代から70代にかけて見つかるがんで、高齢化が進んだのが理由です。もう1つは、PSA(ピサ)検査という画期的な前立腺がんの発見法ができて、これまでなら他のがんや病気で亡くなっていた方が、実は前立腺がんにもかかっていたことがわかるようになりました」

   PSAとは前立腺の中にできるタンパク質で、がんができると細胞組織が壊れて血液中に流れる。その量が基準値を超えるとがんの疑いが強くなる。血液検査だけでわかる簡単な方法だ。番組で紹介されたTさん(71歳)はこの方法で早期発見・早期治療に成功した。東京都板橋区が55歳以上の全区民を対象に行っている「PSA検査」を5年前に奥さんの勧めで受けてみたら、基準値の倍の数値が出た。「私が今、番組に出て話しができるのはPSAのおかげです」。

高橋教授「板橋区では昨年約4400人が受けて、57人にがんが見つかりました。約1%以上です。普通のがんは検診で見つかるのが約0.2%ですから、PSA検査がいかに優秀かわかります。これをやっておけば、見逃すことはありません。50歳になったら1度は受けましょう」
浜島「絶対旦那に受けさせないと! 人間ドックの項目に追加させます」

   前立腺がんの治療方法は3つだ。手術、放射線療法、ホルモン療法である。

星田「それぞれの方法のメリット、デメリットを教えてください」
高橋教授「手術は完治の可能性が一番高いですが、前立腺をとりますので、尿失禁や性機能障害になる場合もあります。今は性機能神経を温存する方法があるので、7割はED(勃起障害)を避けられ、普通の性生活ができます。放射線療法も非常に進歩していて、手術並みの完治が期待できますが、周辺の臓器に放射線が当たると炎症の心配があります。前立腺がんは男性ホルモンの影響で起こるので、注射や飲み薬で男性ホルモンを減らすのがホルモン療法です」
星田「がんが男性ホルモンをエサにしているので、やらないようにすると...」。高橋教授がうなずく。
浜島「(心配そうに)声が高くなるとか、体の変化はないんですか?」
高橋教授「女性化はしませんが、乳房が大きくなったり、少しポッチャリしたりすることはあります。デメリットはEDやほてり、筋肉や骨が弱くなり、骨粗しょう症になったりすること。女性の更年期に似た症状ですね」
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