イオン傘下の靴小売チェーン「ジーフット」が、取引先との打ち合わせなどでマスク着用を原則禁止したことが分かった。
イオンでは、グループ各社に店舗での接客時にマスク着用を認めない方針を伝えていたが、ジーフットでは事務職も対象となる。
マスクは「イメージが悪い」
イオンは2019年12月中旬、客からの「接客時に(マスクを着けていると)声が聞こえづらい」といった声などを踏まえ、グループ各社に接客時のマスク着用を原則禁止する方針を伝えた。
風邪や花粉症などの場合は上長の許可があれば認めるなど例外もあるが、現場で働く従業員からは不満も上がっていた。
このルールを、"接客"しない事務職に適用するグループ企業もある。靴小売り大手のジーフットは、店舗で接客する従業員に加え、東京本社、地方事務所の全従業員も対象とする。
同社のIR広報部長は26日、J-CASTニュースの取材に、導入の背景を「(取引先などの)お客様にとって表情が分かりづらかったり、コミュニケーションが妨げられたり、イメージが悪かったりといった理由です」と説明する。
会社の人事担当部署には特に不満は寄せられておらず、従業員へのヒアリングは現時点で予定していないという。
従業員「今の時代に相応しくない考え方」
一方、取材に応じた従業員は「室内環境や状況が売り場とは全く違う中で、同じ会社だから同じルールで運営するということは、あまりに安易で今の時代に相応しくない考え方だと思います」と眉をひそめる。
通達は社内システムで共有されただけで、上長からの説明はなく、「ここに勤める人間はオフィスワーカーですので、わたし自身全く理解ができず不満が募るばかりです」と話す。
広報部長は、ルールは社外の人間と会う際を念頭に置いているというが、この従業員は「そういった説明は全くなく、わたしの周りの従業員は常にマスクは禁止との認識で仕事をしております」との主張だ。
イオンの見解は?
イオン広報に見解を求めると、同社も、社外の人間との打ち合わせなどは"接客"に該当するとの考えだ。
「こちらでイオン株式会社の総務に確認したところ、(グループ企業の人事本部長に通達)文章を流した際、本社においても接客の部分は取引先なども同様だと口頭で言いました(と聞いている)」
そのため、把握はしていないものの、「BtoBでは取引先がお客様になるので、その部分においても好ましくないと案内している会社はこのようにあるのだと思います」と、ジーフット以外でも、事務職のマスク着用を原則禁止しているグループ企業がある可能性を示唆した。
店舗の従業員も含め、ルール撤回の予定はなく、「意図が正確に伝わっていない部分があるので、我々の伝え方をもう少し改善していく必要があると考えています」(イオン広報)
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)