「お客様のご来店が減少しております」――。ステーキレストランチェーン「いきなり!ステーキ」の店舗で、客の来店を願う言葉がつづられた張り紙がされている。運営するペッパーフードサービス(本社・東京都墨田区)社長の一瀬邦夫氏が語りかける内容で、文字は手書きのようだ。
同チェーンは足元の業績が芳しくなく、この張り紙を見たインターネットユーザーからは「本当に客足が遠のいているんですね」といった声も漏れる。取材に応じた同社によると、張り紙は一瀬社長が直筆したメッセージだという。
「このままではお近くの店を閉めることになります」
いきなりステーキ・渋谷センター街店を訪れたというツイッターユーザーが2019年12月8日、張り紙の写真を投稿。ネット上で話題を呼んだ。
張り紙は「社長からのお願いでございます 従業員、皆元気よく笑顔でお迎えいたします」と大きな字で書かれ、「いきなりステーキは日本初の格安高級牛肉の厚切りステーキを気軽に召しあがれる食文化を発明、大繁盛させて頂きました。今では店舗の急拡大により、いつでも、どこでもいきなりステーキを食べることができるようになりました」とチェーンの成長を振り返る。
ところがこれに続くのは、
「しかし、お客様のご来店が減少しております。このままではお近くの店を閉めることになります。従業員一同は明るく元気に頑張っております」
と客足が遠のいている苦境の吐露。「お店も皆様のご希望にお答えしてほぼ全店を着席できるようにしました。メニューも定量化150g、200gからでも注文できオーダーカットも選べます」とし、
「創業者一瀬邦夫からのお願いです。ぜひ皆様のご来店を心よりお待ちしております」
とストレートに来店を呼びかけた。
さらに「はじめてのご来店のお客様へ」とも続ける。「日本では厚切りステーキを食する文化はなかったですね。いきなりステーキが発進しました」とし、「勇気を出してドアを開けて下さい。オーダーは簡単です。感動の初体験がやみつきになります」とサービスへの自信を見せている。
張り紙は「創業者・一瀬の想いを御客様へ御伝えする為に」
13年末の1号店開業以来、急成長を続けてきたいきなりステーキだが、勢いには陰りが見えている。既存店売上高は18年4月から前年同月比マイナスを続け、19年10月には41.4%減にまで拡大。ペッパーフードサービスは11月、自社ブランド同士の競合が発生しているとして、いきなりステーキの出店計画を210店舗から115店舗に縮小し、さらに既存44店舗を退店すると発表した。
芳しくない業績の表れともいえる「社長からのお願い」の張り紙。ツイッター上では、
「本当に客足が遠のいているんですね。お近くの店舗を閉める。ん~、経営は難しい」
「客に自ら入客数減ってますって言うか?普通?これちょっとでも不満持ってる客がみたらああ、やっぱりな。俺もちがう店に行くか...ってなるんじゃね?」
「普通に行ってます。この数ヶ月で客激減しましたが混んで無くて良い」
と、同チェーンの今後を憂える声などがあがっている。
ペッパーフードサービス広報は12月11日、J-CASTニュースの取材に、この張り紙は12月3日から出しはじめたと明かす。今回目撃されたのは渋谷センター街店だが、いきなりステーキは11月末現在で国内に488店舗。広報は「順次全店に掲出予定です」とした。また、文字は手書きのようだが、
「創業者・一瀬の想いを御客様へ御伝えする為に、一瀬が直筆で書いたものです」
と説明した。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)