日本のプロ野球12球団は2019年2月1日、一斉にキャンプインを迎えた。プロ野球ファン待望の「球春到来」だ。今シーズンを占う上でも目が離せない春季キャンプは、2月下旬から始まるオープン戦まで約3週間にわたって行われる。例年、キャンプの模様は連日のようにメディアで取り上げられるが、野球に関心のない人のなかには「ただの練習なのに何で毎日報道するの?」との疑問を感じている人も多いかもしれない。
日本のプロスポーツにおいて、メディアが3週間以上も練習を報道し続けるのはプロ野球のみ。なぜメディアはプロ野球のキャンプを追い続けるのか。J-CASTニュースがその「謎」に迫った。
日本のプロ野球の春季キャンプは、1946年に巨人が愛媛県松山市の旧制松山高校で行ったものが始まりだとされている。メジャーの「スプリング・トレーニング」に倣って始まったものだと言われており、1955年に巨人が宮崎県にキャンプ地を移してから、他のチームもこれに追随するように、温暖な気候の宮崎県や高知県でキャンプを張るようになったという。1970年代後半になると、より温暖な沖縄でキャンプを張るチームが出始め、春季キャンプのメッカとなっていった。
「2月1日」に一斉キャンプイン...なんで?
12月から1月にかけてよく耳にするのが「自主トレ」という単語だ。これは2月1日の春季キャンプに備えて各選手が個人的にトレーニングを積むもので、あくまでも自主的に行うもの。では、なぜ12球団そろって2月1日からキャンプインとなるのか。それは、野球協約によるもので、チーム練習や対外試合などは前年の12月から1月31日まで禁じられており、チーム練習が解禁となるのが2月1日となるため。これにより、日本のプロ野球は2月1日に一切にキャンプをスタートし、事実上の「開幕」となる。
通例、春季キャンプは4日から5日を1クールとしてスケジュールが組まれる。練習の合間に休日を挟み、終盤の実践練習へ向けて仕上げていく。最近では、キャンプ序盤に紅白戦を前倒しで行う球団も見られるが、通常、基礎体力作りから徐々にペースを上げ、チーム練習、実戦形式の練習に移行し、体が仕上がった状態でオープン戦に突入する。
戦後すぐに始まったプロ野球の春季キャンプだが、メディアはなぜそこまでして練習を報道し続けるのだろうか。
戦後、日本の代表的なプロスポーツといえば、野球、大相撲、ゴルフ、サッカー、ボクシング、プロレスが挙げられる。ボクシングとプロレスには定まったオフシーズンがなく、一年を通して興行が行われ、大相撲は1958年以降、年6場所制となり毎年、奇数月(1月・3月・5月・7月・9月・11月)に本場所が開催される。これらに対してシーズンのオン・オフがはっきりしているのが、プロ野球、サッカー、ゴルフである。