三億円事件の「真犯人の告白」がネット上、それも小説投稿サイト「小説家になろう」で公開された――そんな触れ込みで、世間を驚かせた「府中三億円事件を計画・実行したのは私です。」。ネットメディア、雑誌も巻き込んで大きな話題を呼んだ作品が、なんと書籍として発売される。
ところで、出版社としてはこの作品を「ノンフィクション」として売り出すのか、それとも「小説」として売り出すのか。版元のポプラ社に取材すると――。
真贋めぐって議論盛り上がる
1968年12月10日に発生した「三億円事件」は、日本を代表する未解決事件として知られる。その犯人「白田」氏による手記とされる「府中三億円事件を計画・実行したのは私です。」は、2018年8月8日から9月23日にかけ、小説投稿サイト「小説家になろう」に断続的に公開された。事件にも関わった親友や恋人との人間関係も交え、事件の「真相」を詳細に語る内容だ(現在は「なろう」からは削除されている)。
ネット上でじわじわと話題が広がる中で、J-CASTニュースは10月2日、メディアとして初めてその存在を取り上げた。これを機に注目は加速度的に増し、複数のネットメディアが紹介したほか、「週刊ポスト」(10月26日号)のような雑誌も3ページにわたり特集を組んでいる。
議論を呼んだのは、その「告白」の真贋だ。「ポスト」は、警察関係者や事件に詳しいノンフィクション作家などにも取材、視点のユニークさを評価する一方、細部の矛盾も指摘しており、全体としてはやや懐疑的なトーンだ。ネットメディア「BLOGOS」は「白田」氏へのメールインタビューを実施、やはりいくつかの疑問点を直接ツッコんでいる。
一方、その迫真の語り口などから、ネットを中心に支持の声も根強い。
版元はポプラ社
そのBLOGOS記事でも触れられているが、なんと本作、「続編」の執筆が進んでいるのみならず、書籍化も決まっているという。すでにAmazonでも商品ページが作られており、書名は変わらず『府中三億円事件を計画・実行したのは私です。』、発売日は12月7日、版元はポプラ社であることが明らかにされている。
ポプラ社に対しメールを通じて取材を依頼したところ、11月6日に回答があった。
これによると、ポプラ社が掲載元の「なろう」に対し、連絡を取ったのは10月3日。J-CASTの記事の翌日である。間もなく著者とコンタクトに成功し、9日に書籍の刊行の了解を取るという「速攻」ぶりだ。書籍化に向けて、改稿・加筆を含む編集作業を進めているとのことで、「続編」については現時点では扱いは不明だという。
気になるのは、本作の扱いである。真犯人の告白=「ノンフィクション」としての出版になるのか、それとも――。J-CASTニュースでは、「貴社としては本作をどのような位置づけで出版なされるのでしょうか」と直球の質問をぶつけた。返答は、
「小説として刊行いたします」