IIJ新事業の出資者、「顔ぶれがすごい」 デジタル通貨取引への熱い期待

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   インターネットイニシアティブ(IIJ)が、デジタル通貨の取引・決済を担う金融サービス事業に参入する。スマートフォンなどで操作するネット上の口座「ウォレット」を使い、異なるデジタル通貨をいつでも交換したり、使ったりできるようにする。2018年度中にサービスを開始し、22年度をメドに売上高100億円、会員数500万人を目指す。18年1月25日、発表した。

   新事業を手がける「ディーカレット」(本社・東京都千代田区)を設立、社長にはIIJ専務執行役員の時田一広氏が就いた。資本金(資本準備金も含む)は52.3億円の予定。IIJは35%を出資する。

  • デジタル通貨取引のスタンダード目指す(画像はイメージ)
    デジタル通貨取引のスタンダード目指す(画像はイメージ)
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24時間365日、リアルタイムでの取引・交換を可能に

   ほかの出資者の顔ぶれがすごい。独自のデジタル通貨「MUFGコイン」の発行を検討する三菱東京UFJ銀行に、三井住友銀行を加えたメガバンク勢、日本生命、第一生命、東京海上日動火災、三井住友海上火災、SOMPOホールディングス(HD)の生損保勢、証券2強の野村HD、大和証券グループ本社、電子マネー「Suica(スイカ)」を提供しているJR東日本、家電量販大手のビックカメラ、広告大手の電通、不動産大手の三井不動産、商社大手の伊藤忠商事と系列IT企業の伊藤忠テクノソリューションズ、関西電力系のケイ・オプティコム、九州電力系のQTnet――の17社が出資を決め、物流のヤマトホールディングスも検討中だ。

   IIJはFX会社やネット銀行、証券会社向けに高速通貨取引システムを提供している。そこで培った知見を生かし、出資者と事業連携しながら、デジタル通貨取引のスタンダードとなるようなサービスの提供を目指す。具体的には、多数のデジタル通貨を利用して24時間365日、リアルタイムでの取引・交換を可能にするほか、ECサイトや実店舗での決済、電子マネー・モバイル決済サービスへのチャージをできるようにする。またデジタル通貨をネット上で安全に保管・管理することで、紛失や盗難を防ぐ。将来は銀行口座とも連携し、より自由度の高いサービスにしていく。

背景にはキャッシュレス化の遅れ

   IIJがデジタル通貨の新事業に参入する背景には、キャッシュレス化の遅れがある。経済産業省が作成した資料によると、民間消費支出に占めるキャッシュレス決済比率は日本は18.3%(2015年)。2008年の11.9%からは増えているが、それでも中国の55%▽韓国の54%▽米国の41%に比べ、極端に低い。とはいえ、今後上昇していくことは間違いなく、キャッシュレス化の進展に伴って、ビジネスチャンスも広がる――と考えているようだ。

   日本で最初にインターネットサービスプロバイダをスタートさせ、ネット社会の基盤を作ってきたという自負があるIIJ。デジタル通貨取引のプラットフォームとなるようなサービスを構築できるか、底力が試される。

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