ラーメンからステーキへ 幸楽苑の「いきなり」業態変更へ各社注目

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   ハイデイ日高、幸楽苑ホールディングス(HD)といった大型ラーメンチェーンの成長にブレーキがかかっている。400円前後のラーメンや200円強の餃子のような格安メニューをつまみとする仕事帰りのサラリーマンの「ちょい飲み」需要をとりこんできたが、人手不足による時給上昇や野菜などの原価増を背景に株価も伸び悩んでいる。

   ハイデイ日高はこれまで、デフレを脱却しきれない日本経済を象徴する格好で、外食業界の「勝ち組」の役回りを演じてきたと言える。つまり、じわじわと物価は上昇しているのだが、賃金はそこまで上がらない状況の中で、1000円でおつりがくる程度ながらも一杯飲んで腹もふくれる――というメニューを提供し、小遣いに限りのある顧客の胃袋をつかんできた、というわけだ。

  • ラーメンから肉への方向転換に注目集まる
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「日高屋」営業利益に急ブレーキ

   ハイデイ日高が運営する「日高屋」のメニューをみると、最安ラーメンの「中華そば」は390円(税込み、以下同)と400円を切る。トッピングなどによって値段が上がるが、それでも「野菜たっぷりタンメン」が500円、半熟卵がのった「味玉とんこつラーメン」が520円という具合だ。餃子は6個220円で、3個120円という選択肢もある。セットにするとさらにお得感が出て「半ラーメン、半チャーハン、餃子3個」で550円。アルコールも格安で、レモンサワーが280円、ビール中生が330円、ビール中瓶が450円だ。

   これでも2017年9月1日の値上げ後の値段で、例えばビール中生はかつては310円、レモンサワーは270円、餃子6個210円だった。値上げ後も客足がさほど衰えなかったことなどから、年末にかけて株価は順調に上昇した。

   しかし、株価は12月18日につけた昨年来、高値3865円を直近のピークとして年明けからは3400~3600円台で伸び悩んでいる。その理由として市場で挙げられるのが、利益の伸び悩みだ。12月26日に発表されたハイデイ日高の2017年3~11月期単独決算によると、売上高は前年同期比5.5%増の302億円だったが、本業の利益を示す営業利益は0.7%増の37億円にとどまった。3~11月期の営業利益は16年4.1%増▽15年10.8%増▽14年11.0%増――だっただけに、ここへきて急ブレーキがかかった形だ。人手不足で時給が高騰しているうえ、野菜などの材料価格も上がっていることが利益を圧迫しているのは間違いない。また、多少の値上げではそれらを解決できない可能性さえ示してもいる。

閉鎖する不採算店の一部を「いきなり!ステーキ」フランチャイズ店に

   大型ラーメンチェーンとしてハイデイ日高と競ってきた幸楽苑HDは、さらに深刻だ。幸楽苑のメニューは日高屋よりやや高い程度で、最安ラーメン「あっさり中華そば」が421円、「味噌ねぎらーめん」が529円、ギョーザ(6個)216円、生ビール(グラス)248円という具合だ。幸楽苑は2016年秋に異物混入事件を起こしており、なお信頼回復の途上でもある。そうしたハンデもあって日高の2017年2月期の売上高385億円に対し、幸楽苑の17年3月期の売上高378億円と、通期ベースで初めて日高に逆転を許した。幸楽苑は経費増が重なり、17年9月中間連結決算は営業、経常、最終の各損益がわずかながら赤字に転落。18年3月期通期でも最終損益は6億円の赤字の見通しだ。通期の最終赤字は初めて。

   打開策として国内店舗の1割弱にあたる不採算の52店舗を閉鎖し、そのうち十数店は業態変更して「いきなり!ステーキ」として開店する。「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスと提携し、そのフランチャイズ店としての出店という異例の展開になる。「いきなり!ステーキ」は外食の中でも好調な肉がメインの店で、格安ラーメンに比べ、客単価が高く、採算がとれると判断したというが、果たして業態転換が功を奏するか、業界各社が注目している。

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