千葉県の房総半島南部を走るいすみ鉄道(本社・大多喜町)の鳥塚亮社長(57)が、マナーの悪い一部の鉄道ファンを「阿呆連中」「言葉が通じない」などとブログで痛烈に批判した。
いすみ鉄道は、沿線一面に植えられた菜の花や1960年代製のレトロ車両で鉄道ファンに人気のローカル線。なかでも、上総中川駅と国吉駅の間にある踏切は、撮り鉄の間で「聖地」とも呼ばれる人気の撮影スポットとされている。
線路脇に三脚を立てて...
そんないすみ鉄道に集まる撮り鉄の行動について、鳥塚氏は2018年1月7日のブログで苦言を連発している。まず、6日に「キハ52」というレトロ列車を撮影するために鉄道ファンが沿線を訪れていたとして、
「この寒いのに沿線にはご覧のようにたくさんのお客様が撮影にいらしているようです。真冬の枯野原の田んぼの真ん中に10名以上の人たちが、今か今かとキハを待っているシーンは、この地域にとっては『奇跡』でしょう」
と感慨深げに報告した。
だが、鳥塚氏は続けて「でもそうなると、当然こういう連中も来るのです」とも指摘。あわせて、線路脇にカメラの三脚を立てて列車を撮影しようとする複数の男性の後ろ姿を捉えた写真を掲載した。
この写真には、線路脇に置かれた標識よりも内側に三脚を立てて列車の撮影に臨むカメラマンの姿が映っている。三脚の脚は、線路に敷かれた茶色い砂利の上に乗っているようにも見える。
こうした一部ファンの行動について、鳥塚氏は「鉄道ファンという人たちは、きちんとしている人たちが多いと思っています」としつつも、
「が、分母が大きくなると、つまり、たくさんの人数が来るようになると、人間には一定の割合で頭の悪い奴や、物事を理解できない奴が存在しますから、当然、そういう人間が目立つようになります。ということで、こういう連中が散見されるようです」
と痛烈に批判している。
「感情的すぎる」との指摘も
さらに鳥塚氏はブログで、紹介した写真のような行動について「皆さん、見かけたら注意してあげてください」と注意喚起。その上で、
「でも、注意するのもコミュニケーションですから、上手に注意してくださいね。何しろ相手は阿呆連中ですから、ふつうの会話が理解できない可能性があります」
と皮肉たっぷりにつづっている。
続けて鳥塚氏は、注意しても効果がない悪質なケースでは迷惑客の顔を「晒す」可能性もあると予告。その理由については、
「実名で意見を言い合う鉄道ファンのコミュニケーションの中では、こういう人たちの『顔出し』もありでしょう。何しろ言葉が通じない場合は仕方ありません」
と説明していた。
こうしたマナーの悪い鉄道ファンへの怒りを爆発させた鳥塚氏のブログについて、ツイッターやネット掲示板では、
「ちょっと言い方荒いけど正論だと思う」
「かなりキツイこと書いてあるけど当然の事。撮り鉄の為に列車は走っているのではない」
「これ、社長からの最終通告かな。次に見つけたら110番かも」
といった声が相次いだ。ただ一方で、「ムカつくのはわからんでもないが感情的すぎる」「発言や行動が過激というか社長らしくない」などの否定的な意見も出ている。
「このような行為をする人はお客様ではありません」
なお、鳥塚氏が一部の鉄道ファンの行動に苦言を呈すのは今回が初めてではなく、16年4月3日のブログでも、「カメラマンがたくさんやってくる季節になると、分母が拡大する分、阿呆の数も増えます」と言及。線路に立ち入ったり、線路のすぐ側で撮影を試みたりする人が出ているとして、
「今日も昨日も、そういう阿呆連中のために非常ブレーキをかけて停車した列車が何本もあります」
とも伝えていた。
そのほか、いすみ鉄道の公式サイト上でも、17年3月23日付で迷惑行為を止めるよう促す注意文を掲載している。
この文書では「マナーの悪い人が今年も大変目立っています」と切り出し、よく見かけるという迷惑行為を列挙。沿線の菜の花を踏み荒らしたり、花を引き抜いて持ち帰ったりする人すらいたとして、
「このような行為をする人はお客様ではありません」
とも訴えていた。