内閣支持率「低下」で財政規律に緩み? 予算編成めぐる攻防

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   政府の2018年度予算編成で、各省庁の予算要求の大枠を示す概算要求基準が決まった。各省庁は基準に基づき17年8月末までに要求を提出。財務省による査定を経て年末に予算案が決定する。

   アベノミクスの衣の下に歳出拡大の鎧が見え隠れする中、加計学園問題などで安倍晋三首相の求心力低下もあって、財政規律の緩みを懸念する声も高まっている。第2次安倍政権成立後で最も「緩み」を感じさせる予算論議のスタートと言えそうだ。

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「優先課題推進枠」を設定

   基準の主な中身は、(1)公共事業などの裁量的経費は、2017年度当初予算の14.6兆円から1割削減、(2)その代わり新たな成長戦略「人づくり革命」の関連などとして約4兆円の「優先課題推進枠(特別枠)」を設定、(3)年金や医療費など社会保障費は、高齢化に伴う自然増分として2017年度当初予算(31.2兆円)から6300億円増の要求を認める――など。(2)の特別枠は「人材投資」「地域経済・中小企業・サービス業の生産性向上」など目的のはっきりしたものという触れ込みだが、実際にはかなり幅広く、(1)で削った事業が看板を替えて(2)にもぐりこむ余地が残りそうだ。また、(3)の社会保障費は2016~18年度は年5000億円の増加に抑えることになっており、6300億円の増要求から1300億円を削ることになる。

   総枠については、今回も上限を設けない。概算要求基準はかつて、「シーリング(天井)」と呼ばれ、上限額を定めていたが、2012年末に発足した第2次安倍政権では、14年度予算編成から上限を設けておらず、今回もこれを踏襲した。そのため、各省庁からの要求は膨らむ傾向が続いており、要求総額は100兆円を超える可能性が高い。

   政府が今年6月に決めた経済財政運営の指針「骨太の方針」で掲げた幼児教育・保育の無償化については、特別枠の「人材投資」として予算編成過程で別途財源の確保を検討するとしている。

   具体的な予算編成のポイントは、社会保障費、教育などの財源、総枠の3つだ。

   社会保障では、2018年度は医療・介護の「公定価格」である診療報酬・介護報酬の増減率の改定の年。診療報酬は、薬価の引き下げのほか、医師等の人件費に充てる「本体部分」をめぐり、引き上げを求める医師会などと激しい攻防になりそうだ。

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