東京メトロ・銀座線の「1000系(けい)特別仕様車両」の車内が「阪急(電車)にそっくり」だと話題を集めている。
100年近く前の開通当時に走行していた旧1000形(がた)をイメージしたこの車両。特徴は、木目調の内装に、ふかふかした緑色のシートだ。阪急沿線で生活をした経験のある人なら、見た瞬間ピンとくるほど、阪急電車の車両に似ている。果たして阪急を意識しているのか、いないのか、東京メトロに聞いた。
1月から走行、じわじわと話題に
2017年1月中旬から銀座線を走る1000系特別仕様車両。1920年代の銀座線開通当時に走っていた、旧1000形車両を最大限復元したものだ。木目調の内装に緑色のロングシート、真鍮色の手すりや握り棒など、どことなくレトロな色合いが光る。
この車両の内装が最近、にわかに注目を集めている。というのも、阪急電車の内装と「そっくり」なのだ。言われてみれば、木目調の内装や緑色のロングシートなど、似ている点は多い。
1月から3月にかけて、じわじわ話題になり始めていたが、あるツイッターユーザーが4月10日、
「東京メトロなのに阪急乗ってる感じ。関西の人なら分かっていただけると思います!!」
というツイートとともに、内装の写真を投稿すると、一気に拡散。
「阪急の電車に似てるね~」
「阪急感すごい」
「阪急電車みたいな木目調の銀座線」
との反応が相次いだ。
阪急沿線情報サイト「webTOKK」によると、阪急電車の車両シートの素材は、アンゴラ山羊の毛で織り上げた毛足3ミリのカットパイル。色は優先座席以外、深みのあるグリーンに統一されている。また、シートにはバネが入っており、座り心地もふかふかしている。
内装はマホガニーの木目調がプリントされたアルミ板だ。
銀座線の旧1000形は90年以上前の時代を走っていた車両だ。ひょっとして、「その頃から東京メトロ(編注:当時の社名は東京地下鉄道)が阪急電車を意識していた」という事実があれば面白いのでは...と、高鳴る胸を押さえながら東京メトロ広報部に取材したところ、
「そういったことはまったくない」
とあっさり否定された。まったくの偶然だったようだ。一方で、担当者は
「逆に言えば、阪急電鉄さんが、昔ながらの内装をずっと守っておられるということなのではないでしょうか」
とも話した。
阪急電車とそっくりな特別仕様の車両は、現在、銀座線の浅草~渋谷間を走る1000系全40編成のうち2編成のみだ。