2017年3月25日の大相撲春場所14日目の結びの一番に、前日の取組で左肩付近を強く打って負傷した横綱・稀勢の里(30)が出場。横綱・鶴竜(31)に寄り切られ、黒星(今場所2敗目)を喫した。
稀勢の里は24日の取組で日馬富士に敗れた際、左肩から勢い良く土俵下に落下した。直後は立ち上がれず、けがの具合が不安視されていたが、肩にテーピングを巻きつつも「強行出場」を果たした。
土俵入りの柏手も小さく...
稀勢の里は24日の取組で日馬富士に寄り切られ、転げ落ちるような形で土俵下に転落。左肩から上腕あたりを強く打った様子で、落下直後は左肩を抑えつつ苦悶の表情を浮かべ、しばらく起き上がれない状態が続いた。
取組後には左腕のあたりを白い包帯で固定し、救急車で大阪市内の病院に向かい治療を受けた。25日のNHK大相撲中継では、救急車を待つ間の稀勢の里の様子について、「鬼の形相で立ち尽くしていました」と解説の尾車親方(元琴風)が話していた。
25日朝のスポーツ各紙の報道によれば、稀勢の里の師匠にあたる田子ノ浦親方が同日朝に「本人が出たいと言っている。強い意志がある」と出場を明言。けがの状態は「相手の力士もいるので」と詳しくは明かさなかったが、
「昨日よりは今日の方がマシになっている」
とも話していた。
そんな状態で迎えた春場所14日目。まず土俵入りで姿を見せた稀勢の里に、会場の観客からは万雷の拍手と大歓声が響いた。左腕を高く上げるなどいつも通りの土俵入り時の動きを見せた稀勢の里だが、両手を勢いよく合わせる柏手(かしわで)は力なく、NHK中継の実況でも、
「柏手の音が、いくぶん小さいかなといった印象があります」
と指摘していた。
「休場して怪我を治した方がいい」
このようにけがの状態が不安視される中で迎えた14日目の結びの一番。大きな拍手と歓声に迎えられて土俵入りした稀勢の里には、客席から「頑張れ」「負けるな」といった声援も飛んだ。
そして始まった鶴竜との取組。立ち合いで左を差し勝負に出た稀勢の里だが、鶴竜にいなされ、そのまま押し切られる形で土俵の外へ。寄り切りで勝負がついた。押し合いでは左腕がうまく使えないような様子もあり、取り組みが終わった後も苦悶の表情を浮かべていた。
こうした稀勢の里の取組に、ツイッターやネット掲示板では、
「痛々しい稀勢の里を見ていられない...」
「痛いの我慢してたんだなあ。全然ダメだったな。残念」
「稀勢の里、左が動かないんだろうなぁ」
「つらそうで見てられない...」
と同情するような声が相次いだ。そのほか、「休場して怪我を治した方がいい」「無理して土俵に上がるのは後遺症を残すので止めて」と心配する声も出ていた。
けがの影響もあり2敗と後退した稀勢の里だが、26日の千秋楽では優勝を目指し1敗を守った大関・照ノ富士(25)と対戦する予定。