「もやし生産者の窮状にご理解を!」「このままでは日本の食卓から『もやし』が消えてしまうかもしれません」――もやし生産者の業界団体が発表した声明に、反響が広がっている。
お手頃な値段のもやしは、庶民の味方としておなじみだ。しかしその「安さ」が災いして、コスト増に対応しきれず、廃業する生産者が相次いでいると団体は訴える。業界の思わぬ「窮状」に、消費者からは驚きの声が上がるとともに、「値上げしていい」「今までが安すぎた」など、生産者へのエールも出ている。
生産者、この8年でほぼ半減
都内のあるスーパーのチラシ。日曜日の「朝市」の目玉商品の1つとして、「もやし」の写真が掲載されている。その値段は、1袋15円(税抜)だ。元々数十円程度で売られているもやしだが、特売などではこのように、さらに値引きされることが少なくない。15円どころか、10円、中には「1円」という値付けもある。
そんな中、もやし生産者協会(東京・足立区)が2017年3月15日にウェブサイトなどで発表したのが、「もやし生産者の窮状について」と題した声明だ。
これによると、もやしの価格は2005年から約10%下落。それどころか、引用されている総務省の「家計調査」統計によれば、約40年前の1977年よりも安いという。価格が上がらない理由は声明からは読み取れないものの、年々「安売り」の傾向が強まっていることは間違いない。一方、原料となる緑豆の価格や人件費は高騰、特に緑豆は天候不順などもあり、約3倍に値上がりしている。
「これ以上の経費削減への努力はすでに限界を超え、健全な経営ができていない状況です」(声明より)
こうした結果、2009年に全国で230社を超えていた生産者は、この8年で100社以上が廃業しており、ほぼ半減してしまったという。声明は、「日本の食卓に欠かせない『もやし』をこれからも安定してお届けしていくために、もやし生産者の窮状にご理解を賜り『適正価格』でのお取引を心よりお願い申し上げます」と呼びかける。