森友学園の籠池泰典理事長は2017年3月16日、参院予算委員会の調査チームに対して「安倍内閣総理大臣の寄付金が入っている」と主張した。
安倍首相は、仮に首相夫妻が国有地譲渡や小学校の認可に関与していた場合は「総理大臣も国会議員も辞める」と述べている。安倍首相は同日、寄付の事実を否定。妻の昭恵氏が個人として寄付した可能性については「調査中」という。
現地調査の参院議員らに説明
著述家の菅野完氏は3月15日、籠池氏の発言として、現職閣僚が籠池氏に現金数百万円程度を渡していたと明かし、「現職閣僚」が誰なのかに注目が集まっていた。その籠池氏が3月16日午後、認可申請を取り下げた「瑞穂の国記念小学院」(大阪府豊中市)で、参院予算委員会の調査チームを前に
「我々がこの学園を作り上げようとしたのは、皆さん方のご意志があってこそ。しかも、そのご意志の中には、誠に恐縮ですが、安倍内閣総理大臣の寄付金が入っておりますことを伝達いたします」
と述べた。辰巳孝太郎議員(共産党)や山本太郎議員(自由党)など、現地入りしている予算委員会メンバーのツイートなどの情報を総合すると、籠池氏は、15年9月5日、昭恵氏から「総理から」と言って100万円を渡されたと説明しているという。15年9月5日は、昭恵氏が塚本幼稚園で講演した日だ。
野党議員「本人が(国会に)出ると言っている」
野党議員は同市内の籠池氏の自宅で改めてヒヤリングを行った。ヒヤリング後、
「国会でちゃんと話しますと、(籠池氏)ご本人が(言っている)」(社民・福島瑞穂参院議員)
などとして、籠池氏の発言内容を明らかにしなかった。民進党の今井雅人衆院議員は
「本人が出ると言っているのだから、拒む理由はない。このことは与党側も重大に受け止めざるを得ないと思う」
と話し、籠池氏の参考人招致を引き続き求めていく考えだ。
これまで安倍首相は、森友学園の国有地売買や小学校認可との関連を強く否定してきた。2月17日の衆院予算委員会では、民進党の福島伸享議員が「安倍晋三記念小学校」の名前を使って寄付金集めが行われていた事実を追及する中で、安倍首相は森友学園への国有地売却や小学校の認可に安倍夫妻が関与していたことが明らかになれば、
「総理大臣も国会議員も辞める」
と発言。2月24日には、「記念小学校」の名称について「絶対にやめてもらいたい」と「再三申し上げている」と念を押し、
「非常にしつこい中においてですね、あのー、しつこいと言ったら非常に...何回も何回も熱心に言ってこられる中にあってですね..」
と述べた。ただ、3月13日の参院予算委員会では、多少のほころびも見せていた。小川敏夫議員が、過去に安倍首相が、森友学園が運営する幼稚園で講演しようとしていたのではないかと質したのに対して、安倍首相は
「基本的には行くということを考えたが、そこで、妻の方から調整して行くようにしたい、こういうことで先方に伝えて...、これ、どちらにしろ、何が言いたいのかね、私は分からないんですよ」
などと、いらだった様子で講演依頼を受けることを検討していたことを明かした。
安倍首相「自分では寄付はしていない。昭恵夫人、事務所を通じてもしていない」
菅義偉官房長官は3月16日夕方の記者会見で、
「総理に確認したところ、総理は自分では寄付はしていない。昭恵夫人、事務所等、第三者を通じても寄付していないということだった」
などと籠池氏の発言を否定。昭恵夫人については
「本来、私人であるので答える必要はないと思うが、このような事態になっているので、念のために夫人個人が行ったかどうかについてもかも現在確認している」
と述べた。仮に「夫人個人」が寄付していた場合、金銭の出元なども問われることになりそうだ。