学校法人「森友学園」が2017年4月の開校を目指す「瑞穂の国記念小学院」をめぐり、学園は従来の沈黙に近い姿勢から一転、反論に転じた。3月9日には、大阪府が豊中市の建設予定地を視察したのにともなって、学園の籠池泰典理事長も現地入りし、報道陣を前に「開校させてほしい」と訴えつつ、取材姿勢を「パパラッチのよう」だとも批判した。
これに先立って、籠池氏が約30分にわたって「尻尾切りはやめてほしい」などと、政治家が籠池氏との関係を否定し始めたことに反論する動画も9日昼に公開されたが、同日夕方には削除されるなど、迷走が続いている。
「工事が始まっている。これは重たい事実」
籠池氏は報道陣の前で、小学校について私学審議会から「認可妥当」の判断が出たからこそ用地の取得ができ、校舎の建設にも着手できていると主張。このまま設置を認可するように求めた。さらに、一連の騒動にともなう取材攻勢で「私自身が仕事をできなくなった」とも述べ、報道陣を批判した。
この発言は14時20分頃のものだが、これに先立つ0時52分には、学園関係者によると見られるブログに「全国の皆さんへ、籠池理事長が伝えたいこと」と題した記事が公開され、そこには籠池氏が持論を展開するユーチューブ動画へのリンクが張り付けられた。
動画の長さは約30分。冒頭、籠池氏は国有地購入は「正当な手続き」を経ており、「どなたにも口利きをしてもらったことは全くない」と主張。「工事が始まっている。これは重たい事実」などと訴えた。
「マスコミの力はすごい。国会議員の皆さんも、マスコミの報道を気にして答弁している。私はその犠牲者といっていい」
とも話し、国会審議に翻弄されていると訴えた。
稲田氏「10年ぐらい会ったこともない」に「2年前に会った」
この動画では、騒動になったことで急に自らの距離を置き始めた国会議員への恨み節もぶちまけた。
「国会議員の先生が私のことを『全然知らない』と言っていたが、よく存じ上げている方もいらっしゃる。 『10年前にしか会ったことがない』とおっしゃっていたが、そんなことない。 2年ほど前にお会いしたことがあるのではないかと思う。ある特定の会合の中で。でも、そういうことを言わないのはおかしいのではないか。 籠池潰しはやめてほしい。尻尾切りはやめてほしい」
稲田朋美防衛相は3月8日の参院予算委員会で籠池氏との関係について
「面識はありますけども、ここ10年ぐらいお会いしたことも、お話ししたこともごさいません」
と答弁している。籠池氏の発言は、稲田氏の念頭に置いている可能性が高い。
ただ、籠池氏もユーチューブの動画と、それを紹介するブログの記事は、3月9日17時時点では削除されている。