ペットボトルのキャップをモーターの力で開けるデバイスを、日本電産が開発した。その名も「スマートペットボトル」だ。
キャップ部分に取り付けたデバイスをスマートフォンの専用アプリで操作し、離れた場所にあるボトルキャップも難なく開けられるというが、その操作の様子を撮影した動画は発表されるとツイッターやインターネット掲示板では驚きの声が出る一方、「スマホ使う意味が全くない」という疑問も噴出するなど、大きな反響が起きている。ペットボトルを自動で開けることに、果たして何の意味があるのか。
遠隔操作で15センチほどの高さにキャップが...
日本電産が「スマートペットボトル」の開発を発表したのは2017年3月3日。主力製品であるモーターはさまざまな種類を生み出してきたが、プレスリリースでは「今までモーターが出会ったことのないモノに、モーターという命を吹き込み新しいモーターの可能性を提案する」と銘打っている。
そのスマートペットボトル、半透明の筒状のデバイスをキャップ部分に取り付け、スマホに専用アプリをダウンロードすれば準備完了。アプリでデバイスを遠隔操作するとモーターが駆動し、自動でキャップを外せる。デバイスは5台まで同時に動かせる。
YouTubeで公開しているデモ動画を見ると、キャップはただ外れるというより、15センチほどの高さに飛び出す。具体的な使用場面もいくつか描いており、社内会議のプレゼン者がスマートペットボトルでキャップを外すと、目を丸くして驚いた聞き手3人を「ドヤ顔」で見下ろしながら水を飲む場面や、公園のベンチにカップルが座っており、男性がキャップをスマートペットボトルでキャップを華麗に外すと、女性が両手を合わせてときめく場面などがある。
いずれもユーモアを交えて笑いを誘う作りになっており、動画を見たと思われる人々からは、ツイッターや2ちゃんねる上で
「あー、面白い。めっちゃ好き。笑」
「キャップパカっ(ドヤァ... 動画下らなすぎワロタ 昼飯中に、職場で笑いをこらえるのに必死だったわ」
と面白がる声が出る一方、
「スマホ使う意味が全くないと思うが」
「手で開けた方がはやくね」
「一発芸な上にニッチすぎる」
と実用性のなさを指摘する反応も多い。
「おカタイ企業というイメージを持たれないように」
一体何のために開発したのか。日本電産の広報担当者はJ-CASTニュースの取材に対し、スマートペットボトルは「マーケティング用に、当社が何を作っているかを多くの方々に知っていただくため」だと答えた。
「B to Bの事業が多く、会社の規模の大きさに比べてカスタマーの方々にあまり知られていませんでした。今回、新卒学生を中心に認知度をアップしようと、『こんな技術がある』『こんなアイデアを持っている』というのを知ってもらいたく、開発しました」
1973年創業の同社だが、2016年まではテレビCMを打ったこともなかった。「こんなものにもモーターがついていたら面白い生活になるのではないか」というメッセージを届けている。「おカタイ企業というイメージを持たれないよう、冗談をきかせつつユーモアなデバイス、デモ動画に仕上げています」という。こうした開発背景のため、インターネット上でさまざまな意見が出ている点についても「当社を知っていただければ」と、狙いに沿っていると考えているようだ。
構想から制作まで約半年をかけたが、現在まで「商品化しようという考えはなかった」。ただ反響の大きさを受け「今後、場合によってはそういったことも視野に入れて計画していきます」という。また、どんな時に使うのが便利か聞くと「とにかく飛ばしたい時に」と話していた。
一方、インターネット上では「介護用品としての方が需要ありそう」「握力めちゃ弱い友達に勧めてやりたい」など実用性がある、という声も挙がり始めている。