専門医「臨床の現場で問題になっている」
こうした「ガッテン!」の放送内容に、医療関係者の中には戸惑いや怒りの声を上げる人も相次いだ。睡眠障害が糖尿病による血管障害の原因であるとする研究成果などは公表されているが、「ガッテン!」が指摘する「睡眠薬が糖尿病の治療に効果的」というのは、論理に飛躍があるといった反応が出ている。
睡眠医学に詳しい都内の精神科医は24日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「睡眠薬と糖尿病には、ほとんど関係がないですよ。生活習慣の面で、睡眠自体と糖尿病には間接的には関係がないとは言い切れないですが、(番組の説明は)無理があるというか...、正直に言えばちょっと意味が分からない」
と答えた。
また、都内のある糖尿病専門医は、
「番組は見ましたが、ちょっとひどいですね。常識的に考えて、睡眠時間が短くなればストレスが増加し、食事の量や回数も増えるし血糖値は悪化しますよ。そういう意味では、睡眠と血糖値に関係はあると言えますが、決して『睡眠薬に血糖値を下げる』効果はありません。論理に飛躍がありますね」
と話す。さらに、放送後にベルソムラの処方を希望する患者が増えたとして、
「(番組の内容が)臨床の現場で問題になっていることも事実です」
とも指摘していた。
また、ベルソムラという睡眠薬の特徴について、要町病院(東京都豊島区)の吉澤孝之院長は、
「これまでの睡眠薬と違って、自然に近い睡眠を促す薬ではありますが、飲んだからと言って必ずしも熟睡できるわけではありません」
と説明する。その上で、「糖尿病が改善したという話は聞いたことがない」とも話していた。