「白猫に400万円つぎ込んだ」 スマホゲーム課金にはまる大人たち

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   大人気スマホ用ゲームアプリ「白猫プロジェクト」に400万円つぎ込んだとする人物が、ユーチューブにキャラクターの装備品や、課金してアイテムを得ることができる「ガチャ」を引くための「ジュエル」、キャラの成長などに使う「ルーン」全てを消去し、最後はアプリを削除する、といった動画をアップしネットで物議を醸している。

   スマホゲームでは、大人でもアイテムなど得ようと大金を使ってしまうケースも後を絶たず、400万円でも驚かないユーザーもいる。どうしてこんなことになるのか。

  • 「コロプラさんはこれからVR頑張ってください」(写真はユーチューブから)
    「コロプラさんはこれからVR頑張ってください」(写真はユーチューブから)
  • 「コロプラさんはこれからVR頑張ってください」(写真はユーチューブから)

「今は耐え忍ぶ時期なのでございましょうか」

   2017年2月19日にアップされた動画のタイトルは「さようなら白猫プロジェクト 400万課金垢消しました」というもの。同ゲームの音楽をバックにスマホの同ゲーム画面が映り、キャラの装備やカチャを引くためのアイテムなどが次々と消去されていく。最後はスマホ画面のアプリ一覧が出て、「『白猫』を削除しますか?」の表示の「削除」を選択しアプリは画面から消えた。

   どうしてこんなことをしたのか。この人物は「愛子」名義で17年1月23日からツイッターを始めていて、実に楽しそうに「白猫」について語り、ゲーム動画をユーチューブにアップしていた。

   このゲームアプリは14年7月にコロプラがリリースし、16年6月27日に1億ダウンロードを達成する大ヒットになっているが、「愛子」を名乗る人物はスタート当初からのユーザーだったようだ。動画をアップした日にツイッターで、

「短い期間ではございましたが皆様今まで本当に有難う御座いました。色々と言いたいことはあるのですがお口にチャックで御座います。 コロプラさんはこれからVR頑張ってくださいませ。 さようなら。 愛子」

と挨拶した。21日には「白猫」専用に使っていたiPad Pro 9.7をプレゼントする、という告知を出し、応募者は、「今の白猫プロジェクトがいかに魅力的か」「コロプラのVR関係がいかに魅力的で将来性があるか」を報告して欲しい、と書いた。このツイッターには、

「まじなんですね。思い直してくださいと言うべきかお疲れ様でしたと言うべきか」
    「つい最近あなたを知ったのに、悲しい。どうか幸せに」

といったリプライが付いている。

   「愛子」さんは、どうして「白猫」にさよならしたのか明言してはいないが、2月15日にはコロプラのVR(バーチャルリアリティー)ゲームの告知を載せていて、

「今は耐え忍ぶ時期なのでございましょうか」

とつぶやいている。

   コロプラは16年からVRゲームに注力すると発表し、ユーザーの間ではVRゲームに力を入れた結果「白猫」のサービスが低下している、などといった嘆きが出ていた。ネット上では、「愛子」さんの行動は、コロプラへの抗議ではないか、という見方も出ている。

3億円課金、メーカーから「殿堂入り」の例も

   本当に400万円も課金していたとすれば驚きで、「どこにそんなカネがあるんだ?」といった書き込みも掲示板に出ているが、一方で、「ガチャ」のゲームに詳しい人たちの反応の中には冷ややかなものもある。

「400万とか廃課金界(編集部注=課金で廃人になる人たちの世界)じゃ雑魚やろ。一回のガチャ更新にそんくらい使うやつもいるらしいのに」
    「400万が一人消えても、一万円勢が四百人いなくなるわけでもないし、ノーダメみたいなもんやろ」
    「400万でコンプ(特定の複数アイテムをすべて揃える)出来るとは随分お安いソシャゲもあったもんだ」

などといった反応が多い。

   2016年11月にはサムザップのソーシャルゲーム「戦国炎舞 -KIZNA-」に3億円ほど課金したとされるユーザーが引退し話題になった。「ソシャゲの神」と言われ、同ゲームの運営事務局は16年11月1日に公式ホームページ上の「お知らせ」で、このユーザーを引き留めようとしだがダメだった。長い間プレイしてくれた感謝として、「殿堂入り」を贈ると発表している。

課金中毒は一種の病気

   ガチャを巡る課金中毒といえば2010年頃から社会問題化し、12年5月には、消費者庁がコンプリートガチャは景品表示法違反に当たると指摘し業界は自主規制を始めた。当時は子供が親の携帯やクレジットカードを使い、月に数十万もの請求が来た、などと騒ぎになったが、ITジャーナリストの井上トシユキさんによれば、そのときの子供がクローズアップされただけであり、当時から課金にハマる多くは大人。そしてゲーム会社の自主規制にも限界があって、課金する人はゲームの別アカウントを作ってまで課金を続けているため、この問題は無くならないという。

   井上さんによれば、課金にハマる人には2つのパターンがあり、一つは性格的にフルコンプ(アイテムを全て集める)しなければ気が収まらないコレクタータイプ。もう一つは課金しなければ落ち着かないギャンブル依存症タイプ、だという。課金しなければゲームクリアが難しいゲームもあり、カッとなって課金のボタンを押し、翌月の請求書でその額に驚くプレイヤーが多い。しかし、ゲームにハマっているため課金はやめられず、結果的に使ったカネは数百万円規模になることも。

   井上さんが取材した一人は、手取り30万円で、家賃と光熱費以外のほとんどをガチャに使っていた。生活が破たんする人もいる。ところが面白い事に、今回の「白猫」のようにガチャにハマった人は、ゲームの展開や、運営側などに疑問を持ったりすると、それまで高額な課金をしていてもスッパリと辞める「潔さ」があるという。しかし、課金をいまだにやめられず生活が破たんしているような人はどうするべきなのか。

   井上さんは、

「課金の中毒症状の出ている人は、ゲームに夢中になる中でほとんど無意識に課金を続けるわけです。だから、それを監視してくれる友達や家族の前以外ではゲームをさせないようにする、というのが効果的だと思います。一種の病気だと周りは判断すべきです」

と話している。

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