深刻な経営不振に陥っている東芝が、人気のテレビアニメ「サザエさん」(フジテレビ系、日曜18時30分から19時放送)のスポンサーから降板する可能性が出てきた。
J‐CASTニュースの取材に東芝は2017年2月15日、「降板」について肯定も否定もしなかった。
「サザエさん」は1969年10月にスタート。2017年で48年目に入る超長寿の「国民的」アニメ番組で、テレビでの実写版や、映画化や舞台化もされている。東芝は1998年まで1社提供。その後もスポンサーを続けており、東芝のイメージ戦略の一翼を担ってきた。
7125億円の巨額損失で実質的な債務超過に
日本を代表する家電大手、東芝の経営再建がますます不透明になっている。東芝は2017年2月14日に発表した2016年4~12月期決算の見通しで、米原子力発電事業をめぐる7125億円の巨額損失を計上することで実質的な債務超過に陥っていることを明らかにした。
当初、同日に予定していた決算発表が一転。米原発事業で不適切な会計処理の疑いが発覚したことで、決算を確定することができなくなった。この日の決算見通しの記者会見で、綱川智社長は海外での原発事業を縮小する方針を表明。2006年に54億ドル(約6100億円)を投じて買収した米ウェスチングハウス(WH)の保有株を売却する検討する考えを示した。あわせて、原発部門を統括していた志賀重範会長の辞任を発表した。
一方で、東芝は半導体事業から、スマートフォン向けなどのフラッシュメモリー事業を分社化。新会社の株式の19.9%を売却することで少なくとも2000億円を調達するはずだった。それもこの日、綱川社長は「すべての(株式の)売却もあり得る。柔軟に考えている」と話し、「虎の子」事業の完全な切り売りも視野の入れていることがわかった。
売却する株式を増やせば、東芝本体の資本基盤が強化されるものの、長期的な収益力は低下することになる。
2015年に不正会計問題が発覚して以降、混迷を極める東芝。「切羽詰った」状況に追い込まれていることは間違いない。
1年前は社長が「継続」表明
経営再建に、さらなる合理化が必要になるなか、再び浮上してきたのが「サザエさん」のスポンサー問題だ。この先、どうなるのか注目されており、インターネットの掲示板などでは、
「会社が危機的状況なんだ。さすがに『みんなで笑って』はおれんだろ」
「リストラで仲間がどんどん消えていくのにイメージもくそもあるかよ」
「白物家電を捨ててるのに、『サザエさん』の意味あんのかね」
などと、スポンサー継続に否定的な声が寄せられている。
また、東芝のあとのスポンサーを推測する「大喜利」も始まっており、
「この番組は『ハイアール』と、御覧のスポンサーの提供でお送りします。(笑)」
「冷蔵庫はパナソニック、エアコンはダイキン、テレビはソニーとかwww」
「カツオにアイフォンもたせてやれよ。提供はアップルな」
といった状態だ。
東芝の「サザエさん」のスポンサーをめぐっては、2016年3月に白物家電事業を売却し、消費者向け事業を大幅に縮小した際も、降板するかどうかが注目された。しかし、当時の室町正志社長が16年3月18日の記者会見で、「東芝のイメージ戦略もあり、継続したい」と述べ、「サザエさん」のCM提供を続ける意向を明らかにし、現在も続いている。
「契約更新時に改めて検討したい」
しかし、株主総会では株主から「スポンサーを降りろ」といった声も出ていた。
1年前よりさらに厳しくなった経営状況で、東芝が「サザエさん」のテレビCMのスポンサーから降板する可能性はあるのか――。J‐CASTニュースの取材に、東芝広報部は15日、「スポンサー契約は個別(契約)になります。(契約)更新時期に改めて検討したいと考えています」とだけ話し、「降板」について否定も肯定もしなかった。契約更改の時期についても「お話しできない」としており、経営再建の過程で「サザエさん降板」という選択肢が浮上した可能性がある。
ただ、40年超も続いている長寿アニメで、番組提供やテレビCMを務めてきた東芝だけに、「東芝=サザエさん」のイメージは国民にも浸透している。インターネットの掲示板などにも、
「リストラ進めれば『サザエさん』は守れるよ」
「サザエさんは高視聴率だし費用対効果が高いんだろ」
「東芝がやめた時点で、『サザエさん』は打ち切りじゃないの」
「東芝あっての『サザエさん』だと思うので頑張ってほしいです」
と、「応援」の声も少なくない。