東京都の小池百合子知事と自民党都連の「代理戦争」として注目された千代田区長選は、小池氏の支援を受けた現職の石川雅己氏(75)が、自民都連の推薦を受けた会社員の与謝野信氏の3倍以上を得票し「圧勝」した。
メディア各社の出口調査によると、自民党支持者も6割が石川氏に投票し、与謝野氏に投票したのは2~3割。自民都連は票固めに完全に失敗した形で、7月に投開票される都議選に大きな影響がありそうだ。
与謝野氏は無党派層にも不人気
立候補した3氏の確定投票数は、当選した石川氏が1万6371票、与謝野氏が4758票、元会社員の五十嵐朝青氏(41、無所属)が3976票。石川氏は「トリプルスコア」での当選となった。与謝野氏は地元選出の与謝野馨・元財務相の甥という看板がありながら、無名の五十嵐氏に800票弱差に肉薄されるなど、惨敗だった。投票率は前回(13年)の42.27%を11.4ポイントも上回り、53.67%だった。「代理戦争」で注目が集まり、投票率上昇につながったとみられる。
与謝野氏の惨敗の背景には、都連が自民支持層の票を固めきれなかったことが大きそうだ。朝日新聞の出口調査によると、自民党支持者のうち61%が石川氏に投票し、与謝野氏に投票したのは27%にとどまった。五十嵐氏に投票した人も11%いた。NHKの出口調査でも同様で、自民党支持者のうち約6割が石川氏に投票。与謝野氏に投票した人の割合は20%台後半で、五十嵐氏は約10%だった。
民進党支持者も約60%が石川氏に投票。五十嵐氏は約20%で、与謝野氏10%台半ばだった。石川氏は、無党派層からはさらに広い支持を集めた。無党派層のうち60%台後半が石川氏に、約20%が五十嵐氏に、約10%が与謝野氏に投票した。与謝野氏は自民支持層を固められなかったばかりでなく、とりわけ無党派層から不人気だったことになる。
「小池新党に勝ってほしい」7割超す
そうした中で、小池氏を中心とした地域政党「都民ファーストの会」が、都議選で60人を超す候補者の擁立を検討しているとの報道が相次いでいる。前出の朝日新聞の出口調査では、小池氏立ち上げた政党に「勝ってほしいと思いますか」という問いに、72%が「勝ってほしい」と答えている。議会の定数は127。7月までの5か月間、今のままの人気が続けば、他党との候補者調整によっては過半数(64人以上)確保も視野に入ってきそうだ。
小池氏は5日夜、今回の千代田区長選の結果を踏まえ、夏の都議会議員選挙について
「この千代田区が東京大改革の新たなステップになった」
と自信を見せている。