お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんが、日本音楽著作権協会(JASRAC)への「感謝状」をブログに投稿した。西野さんといえば、最新刊の絵本『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)をネットで無料公開し、物議をかもしたばかり。
一方のJASRACは、楽器教室からも著作権料を徴収すると発表し、批判を浴びている。著作権をめぐる双方のスタンスがくっきり分かれる中、西野さんの反応は何を意味するのか。
著作権をめぐり正反対の対応だったが...
西野さんは、17年2月5日、「ありがとうJASRAC!」と題する記事をブログに投稿。「拝啓、JASRAC殿」――時候の挨拶からはじまる手紙のような文章で、「謝辞」を綴った。
JASRACはこの3日前、18年1月をめどに楽器教室からも著作権料を徴収すると発表した。この方針に批判が噴出、作詞家・及川眠子(ねこ)さんも「このままではJASRACの未来はない」(2月3日のツイート)と厳しく指摘していた。
西野さんも及川さんと同じく、「(JASRACの方針には)個人的には承服しかねる部分もある」という。しかし一方、「今回のアクション全体を通しては、とても感謝しております」とも書いている。
およそ2週間前、「お金の奴隷解放宣言」と称して絵本を無料公開した西野さん。著作権料の徴収にこだわるJASRACと、自らの著作物を無料公開する西野さんでは、スタンスが真逆のようにも思える。
なぜ、「感謝」するのか。ブログによると、それは単に「数日間続いていた私のブログの炎が鎮火」したから。つまり、JASRACが「身体を張って炎を引き取った」からだというのだ。
「世間の皆様の手のひら返しは凄まじい」
西野さんは、「クリエイターの報酬が下がる」といった自身への批判と真逆の批判が今回、JASRACに浴びせられたとみる。
ブログでは、この状況を
「世間の皆様が貴殿に対し、お金の奴隷解放宣言を叫んだ」
と表現。「世間の皆様の手のひら返し感は凄まじい」と分析し、「ネット民の正義」は「正論」ではなく「皆が叩いているから叩く」だと総括した。
そして最後に、
「こうして身体を張って炎を引き取っていただき、感謝の気持ちでいっぱい」
と皮肉まじりの「謝辞」を述べるとともに、自身を「日本一の炎上王」と名乗り、「炎上回数を増やすこと」が一番の炎上対策だと、JASRACにアドバイスしている。