節分に食べる「恵方巻」の販売ノルマを課せられたと、コンビニのアルバイトとみられるツイートが2017年に入って相次ぐ騒ぎになっている。しかし、大手コンビニの本部では、ノルマを店側に課していることを否定している。
コンビニでは季節の商品ごとにノルマを課せられる、との声がツイッター上では多い。恵方巻ノルマの訴えは、なんとクリスマスケーキを売るときから見られた。
「オーナーに恵方巻の予約50件取れって言われてる」
「クリスマスケーキ売りながら、お節並べて、恵方巻予約ノルマ」
アルバイトとみられる女性は、クリスマスの16年12月25日、ツイッターでこうぼやいた。
別の女性は27日、「クリスマスケーキのノルマ終わったとおもってホッとしたら次は恵方巻?!?とりあえず3本セット×3で」とツイートした。
年が明けると、1月6日には、「恵方巻ノルマ12本て...お願いできる人なんて限られてるし何本買えばいいんだ」「恵方巻のノルマとれるかな?(~_~) 毎年頭が痛くなる」とツイートが相次ぎ、悲痛な訴えがさらに増えていった。数十本のノルマがあったというケースも多く、「オーナーに恵方巻の予約50件取れって言われてる」「恵方巻ノルマ100だそーです。1人で100。死ぬ」などと書き込まれていた。
ツイート主らが挙げたコンビニは、1社だけではなく、複数の大手コンビニが含まれている。ノルマが達成できないと、自ら買い取る「自爆営業」をするとも告白されている。ツイートを見ると、とても自主的とは思えない内容だ。
NHKも26日のニュースで恵方巻ノルマを取り上げ、労働組合の相談窓口には、売れなかった数万円分を給料から天引きされたという相談が毎年寄せられていると報じた。
自ら買い取らせることも、給料からの天引きも、その事実が分かれば違法になる。労働基準法第24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」とあり、事実上、恵方巻の現物支給になってしまうからだ。
「本部と店の構造的な問題」
ある大手コンビニの広報では1月27日、「本部としては、そのような不正行為を強制することは一切ありません。もしフランチャイズ加盟店で不正があれば、対処しないといけなくなります」とJ-CASTニュースの取材に答えた。今シーズンで、対処したケースはないという。
加盟店に仕入れ増を指示したり、売り上げ目標を示したりすれば、店側に圧力がかかってこうした行為を助長する恐れも考えられる。この点についても、「加盟店は経営が独立しており、発注の強制も一切ありません」と店側へのノルマを否定した。ただ、「加盟店の販売努力は、店が決めることになります」とは認めた。
恵方巻の予約は、順調に進んでいるとしたが、状況まではまだ把握していないという。
恵方巻に関する相談が寄せられている労働組合の首都圏青年ユニオンの執行委員長は、J-CASTニュースの取材に対し、
「アルバイトからの相談には、コンビニが『(給料から)引いておくよ』と恵方巻などを買い取らせて、友達などに売るようにし向けていたというものも過去にありました。こうしたことは、店の売り上げを上げるように本部が圧力をかける中で起きている構造的な問題だと思います。店は高いロイヤルティーを本部に支払うため売らざるを得ず、結果として、会社としての責任を労働者に転嫁させている形になっています」
と指摘。そのうえで、
「働く人たちは、自爆営業などが違法だとの認識を持ち、問題が起きたときに労組に相談に来てほしい。上司との人間関係から買い取りなどを拒否できなくても、支払いを記録して証拠に残せば、後で取り返せる可能性が高くなります」
とアドバイスしている。