小学館の定番学習誌「小学○年生」が、思いも寄らぬ「進化」を遂げたとインターネット上で話題を呼んでいる。なんと、『小学8年生』と題した学習誌が2017年2月に発売されるというのだ。
いったいなぜ、実在しない小学「8」年生を誌名に採用したのか。ツイッターには、「意味がわからない」「ネタかと思った」などと困惑の声が続出している。J-CASTニュースは、同誌の編集長に誌名の由来を聞いた。
休刊相次ぎ、残るは『小学一年生』のみ
1922年(大正11年)から刊行されている小学館の看板学習誌「小学○年生」。ピーク時には1誌あたり数十万部の売上を記録していたが、近年は少子化や子供の趣味の多様化などから売上が低迷。2009年には『五年生』と『六年生』が、12年には『三年生』と『四年生』が順次休刊となった。
さらに、2016年12月26日発売号(首都圏など)をもって『小学二年生』も休刊に。現在も刊行が続いているのは『小学一年生』の1誌だけだ。
そんな中、いまネット上を中心に大きな注目を集めているのが、17年2月15日に発売される『小学8年生』という雑誌だ。一応、休刊したばかりの小学二年生の増刊号という位置付けだが、公式サイト上には、
「小学生なら何年生でも大かんげい!新しいざっし『小学8年生』のはつ売がけってい!」
という子供向けのメッセージが記されている。
この『小学8年生』という風変りな誌名をめぐり、ネット上の「大人たち」からはツッコミが続出。ツイッターやネット掲示板には、
「ネタかと思ったらマジだった」
「何がどうなったらそうなるの?」
「中学二年生の新呼称かな?」
「まってまって意味がわからない」
といった投稿が数多く出ている。
デジタル表記で「1から6まで好きな数字にできる」
いったいなぜ、小学「8」年生なのか。同誌の斎藤慎編集長は1月12日のJ-CASTニュースの取材に、
「デジタル数字の8は白塗りになっていまして、雑誌を買った子供が数字のパーツに色を塗ることで、1から6まで好きな数字にすることができます」
と説明する。つまりは、単純な「8年生」ではなく、自分で学年を決められる「○年生」というイメージに近い誌名なのだという。
このように「学年の枠」をなくした雑誌とした理由については、
「学年誌が徐々に消えていくことに、編集者として寂しさを覚えていました。ただ同時に、学習誌自体の需要は決して無くなってはいないとも感じていました。実際、休刊となった学年誌にも万単位の読者がいましたから。そこで考えたのが、学年を問わず楽しんで頂ける『8年生』です」
と話す。
ただ実は、「小学8年生」が発売されるのは今回が初めてではない。16年7月にも一度同名の雑誌が発売されているが、その際は「一部の人の間でしか話題になりませんでした」(斎藤編集長)。そのため、今回の大反響については、
「なんでこのタイミングで注目を集めたのか分かりません。どうせなら、2月の発売直前に話題になってくれれば良かったのに(笑)」
と冗談めかしつつ、不思議そうに話していた。
なお、全学年向けの『8年生』が発行された後も『小学一年生』は引き続き発行される。そのため、斎藤編集長は「1年生は引き続き、そちらをお読みいただければと思います」としていた。
すでに17年2月発売分以降の刊行も決まっているといい、5月には「第2号」、7月には「第3号」が発売予定だとしていた。