新書「日本会議の研究」(扶桑社)で名誉を傷つけられたとして、同書の中で言及された男性が販売差し止めを求めた仮処分申し立てで、東京地裁は2017年1月6日、同社に差し止めを命じる決定を出した。
「日本会議の研究」はノンフィクション作家・菅野完(たもつ)氏が執筆し、憲法改正などを主張する「日本会議」の活動を書いている。16年5月に出版されると10万部以上を販売するベストセラーとなっていた。
販売差し止めを求めた男性は宗教法人の元幹部で、機関誌の部数を伸ばす運動をしていた様子についての同書の記述6か所が、事実に反し、社会的信用を失ったと主張した。東京地裁はこのうちの1か所について、男性の社会的評価を低下させると判断し、該当部分を削除しなければ販売を認められないとした。
菅野氏は6日、ツイッターに、
「拙著『日本会議の研究』に対する仮処分申請について説明します。原告側が修正を求めてきたのは、第6章に登場する特定個人に対する記述のうち6箇所。そのうち5箇所は裁判所が事実認定し、1箇所だけ『その書き方はない』と裁判所が否定したと言うのが経緯です。つまり、こちら側は5/6勝ってる」
と投稿した。
版元の扶桑社は決定後、運営するウェブメディア「ハーバー・ビジネス・オンライン」の公式ツイッターアカウント上で、
「当社の主張がほぼ認められた決定ではありますが、一箇所、約1行削除を求められたのは誠に遺憾です。今後の対応については決定内容を精査し決めてまいります」
との談話を出した。