ネット上で岡山が話題になると、決まって出て来るのが「大都会岡山」というフレーズだ。ネット上には「岡山てさ、何で通称大都会なんですか?」などといった質問が度々現れる。
ルーツは歌手のアンジェラ・アキさん(39)のテレビ番組での発言とされ、それが「小馬鹿」にしたような意味に変えられ、現在は使われている。一方で岡山市はそれを逆手にとり、「岡山市は大都会である」といったPRをしている。
アンジェラ・アキのテレビでの発言がきっかけ
J-CASTニュースは2016年12月22日、岡山市政策局東京事務所に話を聞いてみた。「大都会岡山」というフレーズは、06年6月11日放送のNHK教育「トップランナー」に出演した際に発した言葉だった。徳島県板野郡板野町出身のアンジェラさんが中学の時に岡山市に転居した時に、「(徳島に比べれば)岡山は大都会」と思った、との発言が「2ちゃんねる」などで揶揄され面白おかしく扱われた。まるで近未来を表現するSF映画のような岡山市の動画やイラストを作製し、「これが今の岡山市だ!」などとネット上で拡散した。
もちろん誰も信じてはおらず、「小馬鹿」にしたような扱いとなり、やがては日本の首都になるかのような架空の年表なども作られた。やがて岡山の話題になると「大都会岡山」というフレーズが決まって現れるようになり、何がルーツなのかを知らない人も増えていく。このフレーズを岡山市民はどう思っているのかというと、
「ネットに精通している人しか知らないと思いますので、特に感想というものは無いと思います」
と担当者は語った。
ところが同市はこうしたネットでの話題を逆手に取って、観光や市政のPRに使っているのだ。市の公式ホームページには堂々と「岡山市は大都会である」と謳い、PR動画も制作している。
岡山市の大都会化がリアルに進んでいる?
きっかけは、当時の高谷茂男市長が13年1月に新たな観光PR事業を進めるため、「桃太郎市」に改名すると発表した。もちろんこれはシャレであり、これに合わせて制作したのが「伝説の岡山市」という動画だ。全部で10本あり、その一つが「岡山市は、大都会である」。動画ではネット検索をすればこうしたフレーズが現れるとし、
「大都会かどうかは分からないが、医療や福祉が充実しているし、新しいショッピングモールもできる。地下の食堂には『大都会カレー』という裏メニューがある」
などとPRしている。担当者によれば、西日本で最大のショッピングモール「イオンモール岡山」が2年前に駅前にオープンし、高層ビルも増えている。かつての岡山市とは景観が様変わりし始めた、と話す。「大都会岡山」のリアルな進行が目に見えて行われている、ようなのだ。