宮城県が被災地域の観光復興を目指しゲームアプリ「ポケモンGO」と連動したイベントを開催したところ、拠点となった石巻市は11日間で10万人もの観光客で溢れ、県内には約20億円の経済効果があった。
県の観光課によれば、もともと目標の観光客数や経済効果の設定がないイベントだったため、あまりの賑わいぶりに驚いているという。1度きりの開催では観光客の定着は難しいとし「継続的に開催できれば」、と話している。
11日間で10万人訪問
宮城県は16年度予算で「ポケモンGO」の関連事業費として3000万円を一般会計補正予算で計上している。観光客誘致と、ポケモンを探しながら復興の様子を見てもらおうという狙いからだ。実は今回のイベント、2016年11月12日の1日限りで開催する予定だった。ゲーム運営会社に協力を仰ぎ、ゲームアイテムが獲得できるエリア「ポケストップ」を石巻市とその周辺に出現するよう依頼した。すると思わぬことが起こった。ポケモンのレアキャラ「ラプラス」がイベント前日の11日に宮城、岩手、福島の3県沿岸部に出やすくなったのだ(11月22日に起きた地震でこの日に終了)。宮城県では石巻市に出現した。その情報を得たプレイヤーがどっと訪れることになった。
J-CASTニュースが16年12月21日に県の観光課に取材したところ、11月11日の「ラプラス」が出現した日から21日までの11日間で、計10万人が石巻市を訪問。内訳は県内が7万人(うち日帰り客6万5000人)、県外の宿泊客が3万人だった。飲食代や交通費、宿泊料などで12億4800万円、各産業への波及効果7億4600万円と合わせ計19億9400万円の経済効果がもたらされた、という。
ただし、イベントは大成功するも課題が残った。それは、
「観光客が集まり過ぎてしまったことでトラブルも起こった」
と、担当者は説明した。
集まり過ぎてトラブルも
河北新報などによれば、街中に人があふれたため交通が渋滞したほか、路上駐車や、一方通行を逆走する車もあった。道行く人の中には県警パトカーの注意喚起の呼び掛けに耳を貸す様子がなかったり、民家の敷地内に立ち入るなどしたため苦情が出た。そうした状態がずっと続いたため、観光課は11月19日に注意を喚起する宣伝カーも市内で走らせ、職員らが石巻駅前で歩きながらのスマホ操作や、信号無視、路上駐車をしないようチラシを配布して呼びかけた。
そうした中でも「被災地が見れて良かった」「楽しかった」「復興を頑張ってほしい」といった励ましや感謝の声が聞こえたという。これをきっかけに石巻市の観光客が増え、復興につながるのかどうかJ-CASTニュースが担当者に聞いたところ、
「こうしたイベントを一回きりでは、また観光に来てもらう事は難しいと思います。継続的にできるようにしなければと考えています」
と話していた。