徘徊老人にQRコード付「爪シール」 便利なのか、人権問題か

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   認知症高齢者の「徘徊(はいかい)」が深刻な社会問題となる中、埼玉県入間市が全国に先駆けて導入した、利用者の「爪」に直接貼り付けて使う「身元確認用シール」が注目を集めている。

   入間市が2016年11月から配布を始めたのは、利用者の身元を確認できる番号などを登録したQRコード付のシールだ。導入に踏み切った市には、利用者の家族から感謝の声が寄せられているというが、インターネット上では、身体に直接シールを貼ることに「嫌悪感」を示す投稿も目立つ。

  • 「爪Qシール」の利用イメージ
    「爪Qシール」の利用イメージ
  • 「爪Qシール」の利用イメージ

QRコードを爪に貼る「爪Qシール」

   厚生労働省の推計によれば、高齢者(65歳以上)で認知症の人は2012年時点で462万人。その数は2025年には現状の1.5倍となる700万人に達し、高齢者の5人に1人が認知症になるとも予測されている。

   こうした状況の中、認知症高齢者がフラッと自宅を出たまま「行方不明」となってしまうケースが全国で相次いでいる。警察庁の発表によると、15年に認知症およびその疑いで行方不明になった人の数は1万2208人。増加は3年連続だ。

   すでに全国の多くの自治体が、認知症高齢者の徘徊に関する対策に乗り出している。防災無線やエリアメールでの情報共有をはじめ、高齢者の居場所を確認できるGPS端末を介護者に無料貸与するサービスを導入している自治体も多い。

   こうした対策の一環として、入間市が全国で初めて取り入れたのが、利用者の手や足の爪に貼って使う「爪Qシール」だ。

   シールに印刷されたQRコードをスマートフォンなどで読み取ることで、利用者の身元が確認できる仕組みだ。爪に直接貼り付けて使うため、利用者が発見時にどんな格好をしていても、簡単に身元確認を行うことができる。

   QRコードに登録されているのは、入間市役所の電話番号と利用者に割り当てられる「身元特定番号」だけ。自宅の電話番号などの個人情報は表示されないため、第三者に悪用される危険性もない。

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