東京電力の40代男性社員が福島第1原発事故の収束作業後に甲状腺がんを発症したことについて、厚生労働省は2016年12月16日に男性の労災を認定し、療養補償給付を認めた。放射線被曝(ひばく)後の甲状腺がん発症について労災が認定されるのは初めて。
男性は1992年の入社からおよそ20年で149.6ミリシーベルト被曝した。そのうち139.12ミリシーベルトが原発事故後の緊急作業中に被曝したもので、14年4月に甲状腺がんと診断され、労災を申請した。
厚労省は甲状腺がんの労災認定について、被曝からがんの発症までの期間が5年以上であること、被爆の量が100ミリシーベルト以上であることなどの目安を初めて示した。同省労働基準局補償課はJ-CASTニュースの取材に対し、
「本来100ミリシーベルト以上の被曝が甲状腺がんの発症に直接つながるという医学的な証明はできないが、専門家の見解などから総合的に判断し、今回労災認定をした」
と説明した。
これまで福島原発事故の作業後にがんになり労災を申請したのは今回の男性を含め11人で、うち2人は白血病で労災認定されている。