「Everfilter」背景無断使用で謝罪 新海誠作品をめぐる「中国では許可」の真偽

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   「写真をアニメ風に加工できる」として人気急上昇中のスマートフォンアプリ「Everfilter」の運営元が「著作権侵害問題」について謝罪した。インターネット上では、新海誠監督の作品に出てくる背景等が無断使用されているとの指摘が上がり、物議を醸していた。

   運営元の中国企業は「中国国内での使用は著作権者から公認を得ている」との立場だが、実際はどうなのだろうか。新海作品の著作権を管理する会社に話を聞いた。

  • Everfilterの紹介画像の1つ。上画像の雲が「秒速5センチメートル」冒頭シーンの雲の形と「同じ」だった
    Everfilterの紹介画像の1つ。上画像の雲が「秒速5センチメートル」冒頭シーンの雲の形と「同じ」だった
  • 写真が「一瞬でアニメ風」になるとして話題を呼んでいた
    写真が「一瞬でアニメ風」になるとして話題を呼んでいた
  • Everfilterの紹介画像の1つ。上画像の雲が「秒速5センチメートル」冒頭シーンの雲の形と「同じ」だった
  • 写真が「一瞬でアニメ風」になるとして話題を呼んでいた

「秒速5センチメートル」や「君の名は。」の背景使った?

   Everfilterは中国企業(Google PlayやApp StoreではTopBuzz Japanと表記)が運営するアプリで、「人工ニューラルネットと人工知能を駆使」し、「あなたの写真を1秒でアニメ風に変換」するとうたっている。

   日本版は2016年12月初旬ごろにリリースされたようで、ツイッターやインスタグラム等ではさっそく「すごいな!!!!このアプリ!」「俺も流行りに乗ってみた」「ハマる」と話題を呼んだ。

   だがネット上では、公開からほどなくして著作権侵害疑惑が浮上した。新海誠監督の作品「秒速5センチメートル」や「君の名は。」に出てくる背景美術がエフェクト変換時に無断使用されているのではないか、との指摘が相次いだのだ。

   これを受けて運営元は12月4日夜、ツイッターとフェイスブックに「Everfilter内の一部コンテンツの問題について」と題したコメントを掲載した。

「運営チームにて調査したところ、中国国内の使用に関しては著作権者よりライセンスを受けていたものの、誤って海外版にも使用してしまったことが発覚いたしました」

とし、「使用をすぐさま停止し、著作権元である新海誠様へのご連絡もさせていただきました」と説明。今後は権利関係の取り扱いに一層注意するとした上で、騒動を詫びた。

著作権管理会社「許諾しておりません」

   運営側はあくまで「中国国内での使用は著作権者から公認を得ている」という主張のようだが、その点は事実なのだろうか。

   新海監督作品の著作権を管理するアニメ制作会社「コミックス・ウェーブ・フィルム」の広報担当者は5日、J-CASTニュースの取材に対し、「弊社としては当該アプリに関わったことはなく、許諾もしておりません」と説明。突然の騒動に戸惑っているようだった。

   担当者によると「君の名は。」については東宝が著作権管理を行っているため、中国国内で使用許可が出ていたのかは現段階では分からないという。東宝もこの点に関しては「現在、確認中です」(広報・IR室)とした。

   一方、「秒速5センチメートル」については「アプリのダウンロードページにある紹介画像の1つを見てみたところ、雲の部分が第3話冒頭と全く同じ形でした」(前出の担当者)と指摘した。

   謝罪コメントにあった「新海誠様へのご連絡もさせていただきました」という点については「コメントが公開されたのと同じくらいのタイミングで、弊社宛てにほぼ同じ内容のメールがきました。会社名等も記されていなかったのですが、おそらくこのことなのだろうと思います」とのこと。

   今後の対応について聞いてみると、現状では事実関係が分からない部分が多く、運営元が謝罪していることもあり「事実関係がはっきりするまで、状況を見守りたいと思っています」とした。

   アプリは5日19時時点で利用できる状態にある。また、「君の名は。」の映像や音楽を使ったPR動画は公式ツイッター等に掲載されたままだ。

   Everfilterをめぐっては、配信開始当初に電話番号などの情報を要求権限に盛り込んでいたことからセキュリティー上の懸念も出ていた。これについては4日夕、ツイッターで「開発側のSDK(編注:ソフトウェア開発キット)の誤用」があったとして謝罪し、すでに修正している。

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