インターネットでの通信販売やビデオ・オン・デマンドなどを手がけるDMM.comが、デジタル家電に参入。その第1弾として、「DMM.make」ブランドの4K液晶ディスプレイ 「DMM.make DISPLAY」(50インチと65インチの2機種)を発売した。
驚くのは、その値段。「DMM.make DISPLAY」は50インチが5万9900円、65インチが15万9900円(いずれも税別)という圧倒的な低価格だ。インターネットで話題になっている。本格的な4K放送はまだまだ先だというのに、早くも値崩れが始まったのか。
フルハイビジョン以上の829万画素
DMM.comは、「DMM.make」ブランドのデジタル家電の第1弾として、4K液晶ディスプレイ「DMM.make DISPLAY」を、2016年11月15日に発表した。直販サイトの「DMM通販」や、同社が運営する楽天やamazonのECショップで同日から販売を開始。蔦谷家電などでも順次販売を開始する。
すでにビデオカメラやスマートフォンが、フルハイビジョンの4倍の画素数の「4K」に対応しているほか、NetflixやAmazonなどの動画配信サービスでも4Kコンテンツの配信を開始。4K対応ゲーム機の登場など、「4K」が着々と広がっている。DMM.comは、一方で4Kディスプレイの価格はまだまだ高く、「4Kディスプレイがほしい人の、導入の障壁になっている」と指摘する。
家電量販店やインターネット販売などで4Kテレビの販売動向を調査しているジーエフケー・ジャパン(GfKジャパン)によると、2016年10月時点の4Kテレビの販売価格は、「全体の平均で17万円を割っています」(アナリストの中里見慎一氏)という。
さらにDMM.comによると、50インチに限ると最安値モデルで10万円を切る水準まで下がっているという。今回の新製品では価格を徹底的に抑えた。中里見氏は「単純にはテレビの価格と比べられませんが、それでもDMM.comのディスプレイは安いです」と話す。
「DMM.make DISPLAY」は、50インチの「DME‐4K50D」と65インチの「DME‐4K65D」の2機種。4Kパネルには約829万画素のパネルを採用。デジタル一眼レフカメラで撮影した写真や4Kで撮影した動画を、フルハイビジョンのテレビ以上に高精細な画面で楽しむことができる。
ただ、文字どおり「ディスプレイ」なので、テレビチューナーは搭載していない。そのため、別途チューナーを用意する必要がある。
DMM.comは、ブルーレイレコーダーなどのテレビチューナー付き機器の所有率が75%以上であることなどを考慮。「コストを徹底的に下げるためにこのような構成になった」と説明する。
4Kの地上波などに対応する4Kチューナーの製品化はまだ先だが、「最近はスマートフォンやタブレットで映像を見る人が増えていますし、衛星放送やインターネットでの4Kコンテンツが増えています。大画面でゲームを楽しんだり、写真や動画を見たりするのであれば、ディスプレイで十分。そう考えれば、低価格のディスプレイの販売は広がる可能性はあります」と、中里見氏はみている。
まだ4K放送が始まっていないにもかかわらず...
そんなDMM.comの4Kディスプレイの発売に、インターネットでは、
「DMMってなんでもつくってんだな。すげ~わ」
「なんだか強気やな」
「安っ!! 俺が初めて買った液晶テレビはソニーの19インチで9万円だったわw」
「チューナーはレコーダとかに頼ってもいいし、これはアリかも」
などと、「歓迎」する声がある。
その半面、
「安いもんには裏があるってかwww」
「値段とかはいいけどでかくね。大きすぎるのも使いづらい気がする」
「HDR搭載してないだろ? なら、買わんよ」
「48型のテレビ4万円で売ってるから別にいいや... 4Kじゃないけど」
「4Kってそんなに必要なんか? 庶民が見れるのはまだまだ先の話じゃん」
と、冷ややかな声がないわけではない。
4K放送がはじまっていないにもかかわらず、ここ数年で「4Kテレビ」は新商品が相次いで登場。それにつれて価格も下落している。「値崩れ」といってもいいかもしれない状況だ。
前出のGfKジャパンによると、4Kテレビの販売価格は下落基調で、2016年5月の平均価格は17万9000円と前年同月を11%下回った。テレビの平均使用年数は8年といわれるが、8年前(2008年)の平均価格は46~50インチのフルハイビジョンで29万円だったのに対して、5月では同じサイズの4Kテレビが15万7000円だった。この8年で、画質などのスペックが向上したにもかかわらず、価格は半分近くまで下がっている。