博多駅近くで起きた道路大規模陥没事故は、海外でも驚きをもって受け止めている。駅前の道路に巨大な穴が空くという光景にインパクトがあるのはもちろん、わずか1週間で仮復旧が完了し、通行が再開されたことへの評価も高い。
通行再開を報じる海外のニュースには「自分の住んでいる場所なら何ヶ月もかかる」などといったコメントが寄せられており、日本の技術力を評価する声が多い。
「フィリピンでは何年もかかると思う」
2016年11月8日早朝5時過ぎに起きた陥没事故は15日早朝に仮復旧を終え、事故発生からちょうど1週間後の午前5時に通行を再開した。避難勧告の対象だった現場周辺のビルへの立ち入り制限も解除された。
BBCはウェブサイトに事故発生直後と仮復旧後の写真を並べて掲載し、「巨大な穴で破壊された道路がわずか1週間で再開された」という見出しで事実関係を伝えた。この記事がBBCのフェイスブックページで紹介されると、1万回以上シェアされ、2500以上のコメントがついた。そのコメントの多くが、
「フィリピンでは何年もかかると思う。国会議員がヒヤリングをして『予算がない』といった話が延々と続き、結局はその地域全体が閉鎖されることになりそう」
「日本に8年間住んでいたが、ここハワイと違って建築作業員は非常に真面目で効率がいい。ここ(ハワイ)だと2か月はかかるのでは」
「落とし穴ができる動画はCGだと思っていた」
などとして、スピード復旧に驚く内容だ。
CNNも
「日本の技術と効率性を証明した」
という見出しで報じ、同様の反応が寄せられた。
原因究明と補償はこれから
英ガーディアンは、
「日本人持ち前の技術力と効率の良さで、作業員は24時間体制で働き続け、道路の陥没部分を実質的にわずか2日間で埋め戻した」
と伝え、この復旧スピードは
「東日本大震災で大きな被害を受けた道路復旧に向けた努力を思い起こさせる」
とした。
ただ、「仮復旧」で通行は再開したものの、今後も(1)原因究明(2)補償という大きな問題が残っている。事故の原因になった地下鉄工事再開のめども立たないままだ。高島宗一郎市長は第三者による検証が必要だとして、国土交通省に協力を依頼。同省は、所管する土木研究所(茨城県つくば市)に有識者委員会を設置する方針だ。
補償については、工事を請け負った大成建設共同企業体(JV)と調整しながら、仮払いを含めて検討を進める。大成建設の村田誉之社長は15日に会見し、「市民の皆さんに大変なご迷惑をおかけした」と陳謝。事故については「予測できなかった」と説明し、原因究明を進めていく考えだ。