「結婚したくない」と考える20歳代の男性は2015年度に2割を超え、2008年度の2倍近くに増えたことが、独立行政法人・国立青少年教育振興機構の調査でわかった。
一方、女性は「早く結婚したい」と「結婚したくない」の割合がいずれも増えたが、「結婚したくない」と考える女性は16.0%と男性より少なかった。「子供はほしくない」という男女も倍増している。
「子供はほしくない」も急増
国立青少年教育振興機構が2016年11月1日に発表した「若者の結婚観・子育て観などに関する調査」は、全国の20~30歳代の男女4000人を対象に、2015年度に実施。2008年度と比較した。
その結果、結婚願望の現状は、20歳代の男性は「早く結婚したい」が5.3ポイント減って12.1%。「結婚したくない」は9.7ポイント増えて21.6%となり、結婚に消極的な傾向が強まった。一方、女性は「早く結婚したい」が25.5%、「結婚したくない」が12.9%だった。いずれも増加した。
年代別にみると、男女とも年代が上がるにつれて「早く結婚したい」人の割合が低下し、「結婚したくない」人の割合が増えている。
年収別にみると、「結婚したくない」と考えている人の割合は「100万円未満」が26.8%で最も高く、「100万円以上200万円未満」が22.0%、「200万円以上300万円未満」が16.3%、「300万円以上400万円未満」17.1%、「400万円以上500万円未満」が16.0%、「500万円以上」が15.1%となった。
同機構はこうした結果から、「結婚したくない」という若者の増加は、「若者の収入の低さ」に要因があるとみている。
一方、子供のいない人(2850人)に子供について聞くと、「結婚後も子供はほしくない」と答えた人は24.8%にものぼった。子育て願望は、「夫婦生活が安定したらほしい」という人が27.0%で最多だったが、「子供はほしくない」人はそれに次ぐもので、前回(2008年度)調査と比べて約2倍に増えた。また、「子供はほしくない」人の割合は男性(25.6%)のほうが高かった。
以下、「夫婦生活を十分に楽しんだ後にほしい」が19.5%、「結婚したらすぐにでもほしい」(18.2%)と続いた。
年代別にみると、20代は約2割なのに対して、30代は約3割にのぼっている。
結婚したくないのか、できないのか
こうした調査結果に、インターネットでは、
「結婚するメリットがデメリットより少ないんだよなぁ」
「結婚したくないんじゃないんだ。できないだけなんだ...」
「結婚に対してネガティブ情報が多すぎるんだよな」
「昔から言うもんねぇ、結婚は人生の墓場って...」
「そりゃ自分の生活で手一杯なうえ、女性の要望、要求は上がる一方なんだから独身貴族でいたほうが楽でしょw」
「嫁も子どももほしいがそれ以上に金がほしい」
といった声が寄せられている。
ネットの声からも、若者が「結婚しない」「結婚したくない」背景に、収入の低さがあることがうかがえる。
それに加えて、国立青少年教育振興機構が着目しているのが、家庭や地域の役割だ。
今回の調査結果では、小学生のときまでに集団活動を体験する機会が多かった人ほど、現在「『結婚したい』『子供はほしい』と思う傾向がみられた」と指摘している。経験の多い人の結婚率は約5割で、経験の少ない人に比べて約15ポイント高かった。
なかでも、「友だちとの遊び」「地域活動」「家族行事」といった「人間的なふれあい」を多く体験した人ほど、「結婚したい」という割合が高いことがわかった。近所の人とあいさつする人ほど、結婚や子育て願望が強いとの結果も出た。
さらに、中学生・高校生のときに異性とのコミュニケーションを面倒だと思っていた人ほど、「結婚したくない」と思う傾向がみられるという。
同機構・青少年教育研究センターは、「調査からは、小学生までの遊びの経験が質・量ともに減っていたり、コミュニケーションが不足したりする傾向があることがわかりました。社会環境の変化が原因といえますが、それを家庭や地域がつながり、生活実態にあわせてコミュニケーションを増やしていく努力が必要になってきていると思います」と話している。