豊洲新市場で盛り土がされていなかった問題で、東京都の小池百合子知事は臨時会見で、当時の都の幹部8人が責任者だとして、厳正な処分をする考えを示した。
盛り土がなく、地下空間が作られたことについては、都が2016年9月30日に発表した自己検証報告書では、「いつだれが」が明確にされず、あいまいなままに終わっていた。
当時の市場長2人、部長級6人を責任者に
都が11月1日に発表した第2次の報告書は、小池知事がダメ出しをして、もう一度書類などを精査するよう指示して作られたものだ。
小池知事はこの日の臨時会見で、職員やOBへのヒアリングを行い、設計事務所との打ち合わせ記録を調べるなどした結果、地下空間が「いつ」決まったか分かったとした。
それは、2011年8月18日に行われた都中央卸売市場の新市場整備部による部課長級会議だ。ここで地下の「モニタリング空間」が確認されたと、複数の職員らが証言したと明らかにした。
盛り土は、専門家会議などの提言を受けて09年2月に決められ、当時の石原慎太郎知事が決裁しており、小池知事は、「都の方針に沿わずに、部局の判断で行われた」と幹部らを批判した。決定前後の流れについて、10年11月の基本設計開始時に「モニタリング空間」が出てきて、13年2月に実施設計ができ上がるまでに関わった幹部に直接の責任があるとした。
そして、責任者の幹部について、OBも含めて当時の市場長2人、部長級6人の計8人について、小池知事は、「盛り土しないことを決めた実務上の責任者」だと認定した。
移転には「いくつかのパターンを精査」
当時の市場長については、中西充副知事や岡田至都歴史文化財団副理事長の名前を挙げ、新市場整備の最高責任者として、「『知らなかった』『報告を受けていない』で済まされるものではない」「盛り土について確認すればよかったが、それがなされていなかった」と厳しく指摘した。さらに、市場長を補佐するナンバー2の当時の管理部長についても、「責任は同様」だと述べた。当時の管理部長は、現在はオリンピック・パラリンピック準備局長をしている。
幹部らが都議会で盛り土をしているとウソを言っていたことには、「事実と違う説明は、言語道断というべき」と怒りを露わにした。そのうえで、小池知事は、8人について責任の所在を明確にするとして、「懲戒処分の手続きを速やかに進めるよう指示した。厳正に対処したい」と述べた。
石原元知事についての質問が臨時会見で出ると、小池知事は、「書面でお答えいただいたが、『思い出せない』『記憶にない』とほぼノー回答だった。今後は、会うか書面かを引き続き検討したい」と答えた。
なお、築地市場からの移転については、17年1月半ばの地下水モニタリング結果などを見るとしたうえで、「延期をいつまでするかは、いくつかのパターンを精査している。ロードマップは近々報告したい」とした。