タワーマンションの固定資産税が、高層階ほど高くなるかもしれない。政府・与党は2016年12月にまとめる17年度の税制改正大綱に盛り込み、早ければ18年度以降に引き渡す新築物件から導入したい意向と各メディアが報じている。
タワーマンションは眺望のよい高層階ほど人気で、販売価格が上昇する傾向があるが、現行の税制では、同じタワーマンションで同じ床面積であれば、住んでいる階にかかわらず同じ税額が課せられている。「タワマン」とも称される高層マンションでは、階層によってヒエラルキーが生じ、住民間の軋轢をテーマにしたテレビドラマが話題になっている折、ネット上では歓迎と反発の声が入り乱れている。
低層階でも、高層階と同じ固定資産税は「不公平」
マンションの固定資産税は現行、土地の公示価格や建物の時価などを参考に1棟全体の評価額を算定したうえで、その評価額を床面積で割って計算する。そのため、購入価格にかかわらず、床面積が同じであれば税額が変わらない仕組みになっている。
しかし、実際の販売価格は高層階のほうが低層階より高めのケースが多い。高層階と低層階との価格差が税額に反映されず、低層階に住んでいる人も高層階と同じ水準の固定資産税を支払っているため、「不公平」との指摘があった。
今回の見直し案では、地方税法を改正。高層階ほど税負担を重くする。課税対象は、高さ60メートルを超え、20階以上になるような新築のタワーマンション。マンション1棟あたりの課税総額は変えないため、高層階を購入した人は増税になる一方、低層階を購入した人は減税の恩恵を受ける見通し。
つまり、高層階を希望する人にとってはマイナスだが、低層階に住もうという人にはプラスに働くわけだ。
「砂の塔」でも話題の「タワマン格差」
タワーマンションをめぐっては、相続税が増税された2015年1月以降、高層階の固定資産税が相対的に低いことに目をつけた富裕層が、高層階を購入して相続税(固定資産税の評価額から算出)を節税する動きが広がっている。
高層階の固定資産税が増税されれば、相続税も引き上げられるので、富裕層に有利な相続税対策との批判を抑えられるとの狙いもあるようだ。
このところ、タワーマンションの住民の間には「ヒエラルキー」が生まれているとの指摘が多くなっている。「タワマン格差」を取り上げたTBS系の金曜ドラマ「砂の塔 ~知りすぎた隣人」も話題で、居住する階や占有面積、価格帯、賃貸か分譲かによって明確に格付けされ、まるで「階層カースト」のようだというのだ。
タワーマンションは高層であればあるほど価格もアップする。つまり、高層階であればあるほど「勝ち組」というわけだが、あるタワマン住民の男性は、「たとえばエレベーターの使い方で、自分の住んでいる階よりも上の階からエレベーターが降りてきているときに止めてはいけないという暗黙のルールがあるとか、回数を押すときにいっしょに乗っている人よりも上の階だと軽い優越感に浸れるとかいわれます」という。ただ、この男性は「そんなこと感じませんよ」と、ある種の都市伝説といって笑い飛ばしてもいる。
「今までがおかしかった」「ただのひがみじゃないの」
それでも、タワーマンションの高層階「増税」の報道に、インターネットでは、
「どんどんやれよ。高い所が好きなくせに金額や税金が高いと文句言うかよ」
「タワマンの『階層カースト』恐ろしいね。増税すれば、ちょっとは解消するんかね」
「いいじゃない。多く払ってデカイ顔したい金持ちもいるだろう」
「高層階に住んで女王のように振る舞ってる主婦どもの断末魔が聞こえるなwww」
「同じ間取りでも高層階と低層階じゃ資産価値が違うんだから、単純に今までのほうがおかしかったよな」
と、低層階の住民らしき人などの「歓迎」の声が多く寄せられる。
その半面、
「政府うざいね。だいたいタワマンの低層階に住んでるヤツって、なんのためだ?」
「不公平とか言ってるヤツってなんなの? ただのひがみじゃないの」
といった反発する声もないわけではない。
ただ、既存のタワーマンションについては、現行の税負担を前提に高層階を購入した住民から強い批判が予想されるため、現状のままの税負担を適用する方向のようだ。