かんぽ生命が2020年に照準 「100周年」機に新ビジネスモデル

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   日本郵政グループのかんぽ生命保険が2016年10月で誕生100周年を迎え、東京都内で記念イベントが行われた。かんぽ生命は、日本生命保険や第一生命保険と並ぶ国内最大規模の生命保険会社だ。郵政民営化と株式上場を経て、かんぽ生命は名実ともに民間生保に生まれ変わろうとしている。今後は団塊の世代など高齢者をターゲットに、顧客のビッグデータなども活用し、新たな商品開発を進めるという。

   10月5日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれた記念イベントには、かんぽ生命のCMに登場しているタレントの井ノ原快彦さん、女優の高畑充希さんが登場。かんぽ生命の石井雅実社長は「次の100年に向けて、これからも全国津々浦々の郵便局ネットワークを通じて、大きくて温かい、ユニークなビジネスモデルを高齢化社会に向け積極的に提供していきたい」とあいさつ。原田憲治・総務副大臣が「国民のニーズに合った素晴らしいサービスを引き続き展開していただきたい」とする高市早苗・総務相の祝辞を代読した。

  • 日本郵政グループの本社ビル
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保険料等収入で国内首位の日本生命や第一生命と肩を並べる

   1916年10月、「簡易な手続きで、国民の基礎的生活手段を保障する」として、当時の逓信省(現総務省)が全国の郵便局で販売したのが簡易生命保険だ。簡保生命保険は2006年の郵政民営化を経て、現在の株式会社かんぽ生命保険となった。2015年には念願の株式上場を果たし、政府保有の株式11%分を民間に売却。100%政府保有の国営生保から民間生保に近づいた形だが、全国約2万の郵便局を通じ、養老保険や終身保険、学資保険を中心に販売するビジネスモデルは変わらない。

   国内の生保業界におけるかんぽ生命の存在は大きい。保険料等収入で国内首位の日本生命や第一生命と肩を並べ、総資産は81兆円、保有契約件数は3232万件で、いずれも業界トップ。生保会社の支払い余力を示すソルベンシーマージン比率は1570%で、安全性の目安とされる200%を大きく上回っている。

   かんぽ生命の営業職員(渉外社員)は約2万人と、日本生命の約5万人、第一生命の約4.2万人に及ばないが、全国をカバーする郵便局は国内最大の金融商品販売チャンネルとなっている。

団塊の世代向けに

   郵便局の窓口で契約できる手軽さもあり、かんぽ生命の被保険契約者は約2400万人と全人口の約2割を占める。このうち約6割が女性で、契約者の約6割を50歳以上が占めるなど、「大手生保と比べ、女性と中高年層に強い」(幹部)のが、かんぽ生命の特徴だ。

   このため、かんぽ生命は「団塊の世代が70歳以上になる2020年に向け、高齢者に安心して契約してもらえる安定性と革新性を兼ね備えたビジネスモデルを構築する」としている。日本最大の保有契約のビッグデータを活用し、個人の健康状態に応じた保険料を設定したり、引き受けから支払いまで迅速、正確に行う事務システムを開発したりするという。郵政民営化から早くも10年。果たして狙い通りのサービスを展開できるか。今後、真価が問われることになる。

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