2016年10月8日の午前1時46分に発生した熊本県・阿蘇山中岳第1火口での爆発的噴火は、噴煙が1万1000メートルの高さに達し、九州以外でも火山灰が観測されるなど、影響が広範囲に及んでいる。噴火警戒レベルは2から3まで引き上げられ、入山が規制されている。
36年ぶりの爆発的噴火とあって、ネット上では、2016年4月14日に発生した最大震度7の熊本地震が原因ではないのか心配する声も上がっているが、気象庁は「関連はわからない」とし、専門家の間でも見解が分かれている。
気象庁「わからない」
2011年3月の東日本大震災の後、日本列島周辺では地震活動が活発になっているのではないか、との見方もあり、今回の阿蘇山の噴火直後から、ツイッターでは
「阿蘇山噴火。観光もだし農業被害が本当に辛いな。地震との関係も気になる。」
「地震と関係あるのかなあ、、」
「阿蘇山の噴火に伴う大型地震なのか、大型地震に伴う阿蘇山噴火なのか、どっちなのか?気になります。」
など、4月の熊本地震との関連を心配する投稿が相次いでいる。
気象庁は、今回の噴火について、阿蘇山では7月ごろからマグマ溜りが膨張しているような兆候があり、火山活動も活発化していたとし、火山性地震も増えていたため、噴火が起きる可能性があるとみていた。また、今後も同規模の噴火が起きる可能性があるとして、注意を呼びかけている。
一方で、気象庁は4月に起きた熊本地震との関連は「わからない」とし、関連があるかどうか、断定的な見方を避けている。
これに対して、メディアやツイッターなどに登場する専門家からは、熊本地震が噴火にもたらした影響について、様々な見方が出ており、意見が分かれている。
8日の西日本新聞電子版は、藤井敏嗣東大名誉教授(マグマ学)の、「地震の影響は証明できないが、地震によってマグマだまりが絞られて浅い所まで上がってきたことなども考えられる」と、熊本地震との関係もありうるとの見方を紹介している。
逆に、同日の毎日新聞電子版は、石原和弘京都大学名誉教授(火山物理学)の「噴火に向かっていた火山活動が地震でむしろ邪魔をされた形になっていたのではないか。地震の影響がなくなってきたので本来の阿蘇山の活動に戻ったということだと思う」と答え、地震によって、むしろ火山活動が抑えられていたのではないかという見解を載せた。
一方、群馬大学の早川由紀夫教授(地質学)は8日のツイッターで、「きょうの阿蘇の噴火は、火山の噴火としてまったくめずらしくない普通のもの。ブルカノ式爆発という。桜島では毎月のように、浅間山では数年に1度、起きてる。毎月のように起きてる桜島のブルカノ式爆発はもっと弱いが、数年に1度の浅間山ときょうの阿蘇はよく似た強さと規模。12キロ、6万トン。」と解説し、熊本地震との関係には言及していない。そのうえで、
「とくにめずらしくない火山噴火だから、このあとすぐ、めざましいことに発展する気配はない。今月、もう1回か2回、同じような爆発をするかな。」
と、投稿している。